今日、歯医者で差し歯を保険のプラスチックにするかセラミックにするか説明を受け、どうしようか迷ってこの記事を読んでいる方もいるのではないでしょうか。セラミックが何となくいいのはわかるけど、どれほどの違いがあるのかわかりませんよね。
保険の差し歯は金属の表面にプラスチックを貼り付けたもので、セラミックは陶器で劣化や変色が少ないものです。
それでは保険の差し歯はどれくらいで変色し、どのようなリスクがあるのか。セラミックにした場合の費用対効果はどのように違うのかを比較してみました。
また、セラミックにしたいけれど今はどうしてもできないという方に、お金が貯まるまでの応急的な処置法もお伝えします。ぜひ参考にしてください。
1.保険のプラスチックの差し歯とセラミックの比較
セラミックの治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。具体的にイメージが湧くと思います。
1−1.保険のプラスチックの劣化
保険の差し歯は金属冠の前にプラスチックを貼り付けた被せ物です。金属の色が透けないようなプラスチックを使うため、透明感のない歯になります。
貼り付けたプラスチックは半年から1年程度で黄ばんできます。また、金属の冠による歯茎が黒くなったり、金属のサビによる虫歯によって定期的にやり変えの必要があります。
プラスチックは口の中で水分を吸収し、膨張と収縮を繰り返します。そのため貼り付けたプラスチックは劣化し、剥がれ落ちてしまいます。
金属の劣化によって隙間から虫歯になり、差し歯が折れてしまうことがあります。
1−2.セラミックの歯は10年以上変色しない
セラミックの歯は金属を使わずにセラミックの陶材を使うことによって、歯に近い色や透明度を出すことができます。セラミックは10年たっても劣化や変色はしません。綺麗で透明度のある歯の状態が長く続きます。
2.前歯をセラミック治療で行ったほうがいい理由
2−1.きれいな前歯を長期間保つことができる
セラミックはプラスチックのように黄ばんだり、黒くなることがありません。口の中は常に水分のある環境なので、プラスチックは水分を吸収してしまうと劣化により黄ばんだり、歯との接着面が剥れ、隙間に汚れがたまり黒く見えてきます。その点、セラミックは口の中でも安定した材料なので変色せず、綺麗な状態が長く維持できます。
2−2.透き通る透明感のある歯にすることができる
歯は中心にある白っぽい色をした象牙質(ぞうげしつ)と表面にある透明なエナメル質に分かれています。このエナメル質を歯で表現できるのがセラミックです。透き通った透明感のある歯にすると口元が輝きます。特に歯がグレーや縞模様になっているテトラサイクリン歯の方は歯の表面にセラミックを貼り付けるラミネートベニア法で治療をすることによって口元に自信が持てるようになります。
2−3.自分の歯にあった色を決めることができる
歯の色が特殊な場合、1本の歯を治療した時、その歯だけ色が浮いてしまいます。セラミック治療を行うと細部まで色を合わせることができ、治療したことが気づかれないような歯にすることができます。
2−4.汚れがつきにくいので口臭を防ぐ
セラミックはプラスチックに比べプラークが付きにくいので汚れがすぐに落とせます。歯ブラシやデンタルフロスで歯を磨く時にセラミックの部分は表面が細かいので、プラスチックや歯よりも簡単にプラークを落とすことができます。いつも清潔な口の中を維持でき、口臭も防ぐことができます。
2−5.きれいな歯茎になる
プラスチックの被せ物や詰め物が歯茎に接している部分は歯茎が腫れやすくなります。プラスチックはセラミックに比べ粒子が粗く、歯茎に接している部分があると、歯茎が赤く腫れてしまいます。セラミックは歯茎に接していても腫れたり、膿が出たりすることが少なくなります。歯が綺麗になっても歯茎が歯肉炎で真っ赤になっていると不潔な印象を持たれてしまいます。
2−6.歯や歯茎が黒くなるのを防ぐ
セラミック治療のなかのオールセラミックは金属を使わないために歯茎が黒くなることがありません。歯茎が黒ずんでしまう原因の一つに金属があります。金属の成分が唾液などの水分によりイオン化し、歯茎に浸透して黒くなってしまいます。オールセラミック治療で歯も歯茎も綺麗にすることができます。
2−7.金属アレルギーを防ぐことができる
オールセラミックは金属を使わないために金属アレルギーになることがありません。金属アレルギーは金属イオンが体のなかに蓄積し、体の許容範囲を超えた時にアレルギーとして発症します。口のなかの金属は常にイオン化しているためできるだけ、金属を使わない治療をお勧めします。詳しくは「お口の金属は大丈夫?金属アレルギーを悪化させないための7つの対策」を参考にしてください。
3.セラミックの種類と費用
3−1.主に前歯に使うオールセラミック
オールセラミックとは金属を使わないセラミック治療です。そのため前歯など審美的要素が高い部分に使われる材料です。オールセラミックは歯の色を合わせやすく特殊な色や、透明な色を出すことができます。費用は歯の色をどこまで合わせるかによって9万円〜18万円程度になります。
3−2.主に奥歯に使うジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは通常のオールセラミックより硬いセラミックを使っています。セラミックは硬さを増すと透明度が下がります。そのため主に奥歯に使われることが多いセラミックです。また前歯に使う時はジルコニアセラミックの上に別のセラミックを盛り足して、色や透明度を出すために、通常のセラミックより2〜3万円程度高くなります。
3−3.金属を使うメタルボンド
メタルボンドは金属の表面にセラミックを焼き付けて被せ物にする方法です。歯ぎしりが強くセラミックでは取れたり割れたりしてしまう場合などに使われることがあります。金属部分は歯や歯茎の変色が起こらないように金やプラチナの成分が高いものを使います。そのため金の相場によって費用が異なりますが9万円〜18万円程度になります。
3−4.保険で奥歯を白くできるハイブリットセラミック
ハイブリットセラミックとはプラスチックとセラミックの合わせた材料です。保険診療では犬歯の後ろの小臼歯と下の歯の6歳臼歯に行うことができます(2018.6現在)。前歯にはまだ認められていないために自費診療となります。プラスチックが含まれているために時間の経過とともに変色は起こります。費用は保険診療3割負担で5〜6千円程度になります。自費診療の場合は4〜6万円程度です。詳しくは「保険の白い冠!ハイブリットセラミッククラウンの特徴と費用」を参考にしてください。
ハイブリットセラミック治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
4.オールセラミックの費用
4−1.ベーシックな色:費用は9万円〜15万円程度
歯の色が一般的な方にはスタンダード色のセラミックがお勧めです。歯に色がA2・A3・A3.5などの一般的な歯の色の方にお勧めなセラミックの色です。歯の色には基本的な色が数種類あります。その色に近い方の場合はベーシック色のセラミックで治療をお勧めします。ただし、色の種類などが決まっているので多少、自分の歯の色と違いが出る場合があります。
4−2.残っている歯に合わせる色:費用は12〜18万円程度
ベーシックな色を基準にして自分の歯に合わせた色にセラミックを作ります。歯の色や形を写真撮影し、セラミックを自分の歯になじむように作製します。前歯の場合は、このような写真撮影による色の合わせたセラミックがお勧めです。
4−3.特殊な色合わせ:費用は12万円〜18万円程度
歯の色が特別な色をしていて、そのうち一本だけを治療する場合にお勧めのセラミックです。例えばテトラサイクリン歯のような色が縞模様だったり、茶色系と出会ったりすると通常のセラミック治療では色を合わせることができません。そのため、特殊な作製方法でセラミックの色を作っていきます。
5.セラミックをできるだけ安くする方法
セラミックには歯の色をどこまで合わせるかによって費用は異なります。また、セラミックの種類によっても金額が変わります。セラミックのコストをできるだけ安くする方法をお伝えします。
5−1.多少の色を犠牲にして安くする方法
一般的な歯の色の方で、完璧な色合わせをしなくても気にならない方はベーシックなセラミックで行えば費用を安くできます。歯の色合わせは難しく完璧に合わせようとすれば歯科技工士のコストがかかり費用が高くなります。歯の色はA2、A3、A3.5などの記号で表され、この色が一般的であれば費用を安くできます。
5−2.前歯なら強度は下げて費用を安くする
セラミックの種類には一般的なセラミックと強度の高いジルコニアセラミックがあります。ジルコニアセラミックの方が費用は高くなります。歯ぎしりやくいしばりが強くなければ前歯には強い力がかかりにくいため、一般的なセラミックで治療することにより費用を安くできます。
6.セラミックをしたいけれどお金がたまるまでの対処法
6−1.歯の色が変色してしまっている場合
歯の神経が死んでしまうと歯の色が黒くなってきます。本来であればセラミック治療ができればいいのですが、費用の面で今すぐにはできない方におすすめなのが歯のホワイトニングです。通常のホワイトニングとは違い、歯の中から歯を白くするウォーキングブリーチ法を行います。神経の治療をした後、裏側から歯の漂白剤を入れて白くする方法です。時間が経つと徐々に黒ずみが戻ってきてしまいますが、セラミック治療ができるまでの間、歯を白くすることができます。
6−2.歯の根しか残っていない場合
前歯に入れていた保険のプラスチックが取れてしまった場合、歯の根しか残らないことが多くあります。すぐにセラミックが入れられない場合は、グラスファイバーの土台を入れ歯が折れないように補強します。被せ物にはセラミックとプラスチックを混合したハイブリットセラミックでかぶせておきます。費用は4〜6万円程度です。金属を使わないために歯茎が黒くならないので、後でセラミックにやり直しても綺麗に治療をすることができます。
7.より審美的なセラミック治療を行うには
7−1.歯茎の腫れを改善する歯周病治療
綺麗なセラミック治療を行うには、綺麗な歯茎の状態が必要です。歯茎が腫れていたり、膿が出ている状態の歯にセラミック治療を行っても意味がないのです。歯ブラシやデンタルフロスを行っても、出血のない、引き締まった歯茎の状態でセラミック治療を行えば、歯も歯茎も綺麗な状態が維持できます。詳しくは「やさしい歯周病、歯槽膿漏の治し方/4つのステップ」参考にしてください。
7−2.歯のズレを直す部分矯正
セラミック治療では多少の歯のズレや、傾きは改善しながら治療を行うことができます。より審美性の高い治療を行うならば、ズレている歯並びを部分矯正で治してからセラミック治療を行ったほうが綺麗な歯と歯並びにすることができます。詳しくは「前歯だけを矯正する部分矯正/短期間で治す5つの方法と費用」を参考にしてください。
出っ歯を部分矯正とセラミックで治療する流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
7−3.歯茎の高さを合わせる歯周外科
前歯の歯茎に違いがある場合、歯茎の高さを揃えてからセラミック治療を行うことをお勧めします。歯茎の高さは1.5mm以上違いがあると、他人から見て違いがわかるという研究があります。歯茎の高さに違いが大きい場合は歯周外科で歯茎の高さを調整してから、セラミック治療を行うと、より審美性の高い前歯にすることができます。詳しくは「歯列矯正後の歯茎下がりや歯茎の隙間を治す/歯周病専門医」を参考にしてください。
7−4.治療を行う時はまとめて行ったほうがいい
歯のセラミックは歯科技工士という国家資格を持った方が一本一本オーダーメードで作製します。同じものを2度は作れないのです。そのためセラミックの色や形、大きさなどを決める時に周りとの調和を考えて作ります。一本一本作るよりも全体的なバランスを考えて、作ったほうが綺麗な歯の形を作ることができます。
8.セラミックで行うブリッジやインプラント治療
8−1.オールセラミックのブリッジ
ブリッジとは歯を失ってしまった部分に前後の歯を削って、橋のようにつなげ、3本の歯を2本の歯で支える方法です。強度のあるジルコニアというセラミックで行うことによって、負担のかかるブリッジも金属を使わずにオールセラミックで行うことができます。
セラミックのブリッジの治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。具体的にイメージが湧くと思います。
8−2.接着性ブリッジ
接着性ブリッジは通常のブリッジのように歯を削らずに、前後の歯に土台を接着させて行うブリッジの方法です。噛む力が強くかかる部分にはできませんが、前歯で噛む力がそれほど強くない方にお勧めの治療法です。接着性ブリッジもオールセラミックで治療ができ、審美性の高い治療を行うことができます。詳しくは「歯を削らないブリッジ!接着性ブリッジの7つの特徴と治療法」を参考にしてください。
8−3.インプラントの被せ物
インプラントとは歯を失った部分に人工の根(インプラント)を植えて、その上に土台(アバットメント)や冠を被せる治療法です。前歯のインプラントの場合は土台のアバットメントからジルコニアセラミックを使い、セラミックの冠を被せることによって審美性の高い治療を行います。詳しくは「インプラント治療で残っている前歯を削らない!ブリッジより優れている5つのこと」を参考にしてください。
インプラントの治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。具体的にイメージが湧くと思います。
まとめ
歯の寿命をのばすにはできるだけやり直しの治療を避けることです。保険のプラスチックで繰り返し治療を行うことで、歯はどんどん削られ、最終的には根が折れてしまいます。歯の抜歯になればブリッジやインプラントの治療になり、それをセラミックで行えば3倍の費用がかかってしまいます。長期間の費用対効果を考えるとセラミック治療で行うことのほうが、実は費用は安くすみます。
おかざき歯科クリニック院長略歴
岡崎 弘典
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/shougai/
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/sessyoku/
がん歯科医療連携登録医 https://ganjoho.jp/data/professional/med_info/dental/files/14_kanagawa.pdf
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任
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