前歯の歯並びだけを矯正治療で治す方法がないのかと考えている方も多いのではないでしょうか。矯正治療は噛み合わせを考えて多くの場合、歯の全てに矯正装置を付けて治療します。しかし、実は前歯の一部分だけを矯正する部分矯正というものがあるのです。部分矯正は自分が治したい部分に矯正装置をつけ、歯並びを改善する方法です。部分的に行うことで歯列矯正の期間を短く、費用も安くできるのです。今回は前歯を部分矯正で治す5つの方法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。
1.部分矯正とは
部分矯正とは歯並びが悪い一部分の歯に矯正装置を付け、歯並びやかみ合わせを改善する方法です。一般的な全体的に行う矯正治療と比較して、部分矯正は違和感や期間、費用などが低く抑えることができます。しかし、上下でしっかり噛ませることは難しく、前歯のでこぼこや隙間などかみ合わせに大きな影響を与えない治療を行います。
前歯の部分矯正の治療例
前歯の凸凹が気にはなっていたが、矯正をするとなると期間が長くなり、費用も高かったので躊躇していました。しかし、前歯だけの部分矯正というものがあり、期間や費用が思ったほどでもなかったので治療を行ってみました。
コンプレックスだった前歯の歯並びが綺麗になり、治療をして良かったです。期間も費用も通常の矯正治療の半分ですみ、これほど綺麗になるならもっと早く行っていればと思っています。
2.前歯を部分矯正で治す5つの方法
2−1.ブラケットによる部分矯正
前歯のでこぼこがひどい場合におすすめなのがブラケット矯正です。前歯の動かしたい部分にブラケットという矯正装置をつけ、歯並びを治していきます。でこぼこの程度によっては歯を抜歯したり、歯を削って小さくして隙間を作り、歯並びを治していきます。費用は上の前歯だけの場合、15万円〜40万円程度で、期間は半年から1年程度です。
2−2.マウスピースによる部分矯正
前歯のでこぼこが軽度の場合やすきっ歯などに有効なのがマウスピース矯正です。何個かのマウスピースを使いながら歯を動かしていきます。軽度のでこぼこの場合は歯を削って小さくして、隙間を作ります。目立たずに歯並びを改善できるのがメリットです。費用は上の前歯だけの場合、30万〜40万円程度で、期間は半年から1年程度です。詳しくは「マウスピース矯正/30代から60代の女性に人気の透明な歯列矯正」を参考にしてください。
2−3.矯正用インプラントによる部分矯正
前歯の噛み合わせが深い場合に効果的なのがインプラント矯正です。下の前歯が上顎に食い込んでいたり、出っ歯が気になる方に効果的な方法です。ブラケット矯正と組み合わせて使います。費用は上の前歯だけの場合、18万円〜43万円程度で、期間は半年から1年〜2年程度です。詳しくは「矯正期間が短くなる!インプラント矯正の5つのメリットとデメリット」を参考にしてください。
2−4.内側の装置で行う舌側矯正
前歯のでこぼこが強いけれど目立たなく治療したい方におすすめなのが舌側矯正です。歯の内側にブラケットをつけて歯を動かしていきます。噛み合わせが深い場合はブラケットを付けられなかったり、内側にあるため違和感が強かったりします。費用は上の前歯だけの場合、40万円〜60万円程度で、期間は半年から1年〜2年程度です。
2−5.矯正と冠のハイブリット矯正
前歯の歯並びが悪く、虫歯が大きかったり、被せ物が入っている方にはハイブリット矯正がおすすめです。歯の根の位置を揃えることによってきれいな被せ物を作ることができます。前歯の傾きや並びを被せ物だけで治そうとすると、きれいな被せ物ができません。歯の根の位置を変えることによって、歯や歯茎と調和のとれた被せ物ができます。費用は上の前歯だけの場合、矯正の費用が15万円〜40万円程度で期間は半年〜1年程度、被せ物の費用は1本につき10万円程度です。
出っ歯を部分矯正とセラミックで治療する流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
3.前歯の部分矯正のメリット
3−1.気になる部分だけを治すことができる
前歯の部分矯正は奥歯の噛み合わせを動かさずに、前歯だけを治すことができます。全体に装置を付けると違和感も強くなり、痛みが心配という方にもおすすめです。奥歯がしっかり噛んでいて安定している時やインプラントなどが入っている時でも治療を行うことができます。
3−2.期間を短くできる
前歯の部分矯正は歯が動きにくい奥歯を動かさないため、矯正期間を短くすることができます。奥歯の歯は顎の骨が厚く、歯の根も太いために歯を動かすのに時間がかかります。全体的な矯正治療は2〜3年、部分矯正は半分以下の6ヶ月〜1年程度で治療を終えることができます。
3−3.費用を安くできる
前歯の部分矯正は装置が少なく、期間も短いため費用を安くすることができます。全体的な矯正治療は60万円〜120万円程度と毎月の処置料1回5千円程度かかります。部分矯正は5万円から30万円程度で期間も短いため処置料も少なく済みます。
4.前歯の部分矯正のデメリット
4−1.隙間が残ることがある
でこぼこが大きい場合抜歯をして部分矯正を行います。前歯だけで矯正治療を行うためすべての隙間を閉じることができず、残ってしまうことがあります。残った隙間はプラスチックやセラミックで治療をして、隙間を塞ぎます。
4−2.全体的な噛み合わせのバランスを改善することはできない
本来矯正治療は上下の歯に装置をつけてかみ合わせを改善します。部分矯正は一部分の歯にしか矯正装置を付けないため、上下のかみ合わせを改善することができません。必要であれば部分矯正後、冠などを使ってかみ合わせを改善します。
5.前歯の部分矯正の事例
5−1.上の前歯の部分矯正とセラミックの治療
部分矯正で上の前歯に透明なブラケット装置を付け、でこぼこや裏側に隠れていた歯を前に移動します。そのまま被せ物をしてしまうと、歯が斜めになってしまったり、抜歯が必要になります。そのため先に部分矯正を行い、その後セラミックの治療をしています。また、奥歯はインプラント等の治療を行いかみ合わせを安定させています。部分矯正の費用は15万円から40万円程度、そのほかセラミックの費用がかかります。詳しくは「大人の歯の歯列矯正!歯並びを治す5つの方法と費用と期間」を参考にしてください。
5−2.前歯のマウスピースによる部分矯正
前歯の隙間を部分的なマウスピースによって隙間を閉じています。奥歯のかみ合わせはそのままにして前歯のマウスピースを3回作り変えて隙間を閉じ、かみ合わせを安定させています。ただし、すぐにマウスピーを外してしまうと戻ってしまうので隙間が閉じた後も使う必要があります。費用は30万円〜40万円程度です。
まとめ
前歯の部分矯正は見た目の改善だけでなく、歯磨きのしやすさや噛む力がかかる方向も変えることができます。是非一度どのような治療法があるのかかかりつけの先生にご相談されてみてはいかがでしょうか。