虫歯治療法の比較/ドッグベスト・3MIX・MTA・レーザー・カリソルブ

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

あなたは歯がしみて歯医者に行くと、大きな虫歯が発見され、歯の神経を抜かなければいけないと言われたのではないでしょうか。歯医者によって歯の神経を残すために勧める治療法は違い、ドッグベスト・3MIX・MTA・レーザー・カリソルブなど、どれを選択すればいいのかわからなくなってしまいますよね。
これらの治療法はまだまだ研究が進んでいない治療法も多く、しっかりとした根拠が示されていないものもあります。もちろん今後、研究が進み世界的に使用されるようになるかもしれません。
今回は最新の治療法の比較とメリットデメリット、費用や保険導入についてお伝えします。


1.深い虫歯の神経を残す最新治療

深い虫歯とは虫歯が大きく進み、一部の虫歯菌が歯の神経の部分に入り込んでいる状態です。今までの治療法だと、歯の神経を抜く処置が必要となりますが、歯の神経を抜いてしまうと歯はもろくなり、寿命が短くなってしまいます。最新治療では虫歯菌を殺菌させたり、虫歯菌で溶かされた歯を再生させる再石灰化や新たな象牙質である2次象牙質を誘導することによって、歯の神経を残して治療を行う方法です。
もちろん最新の治療を行うことによってもすべての歯の神経が残せるわけではありませんが、今までの治療よりも歯の神経を残せる可能性は上がります。詳しくは「歯の神経を抜く前に知っておきたかった7つのことと最新治療法」を参考にしてください。

1−1.ドッグベストセメント

ドックベストセメントはセメントに含まれるミネラル成分で虫歯菌を殺菌する方法です。治療法は深い部分の虫歯を残し、ドッグベストセメントで虫歯の穴を埋めます。マスコミ等に紹介されている治療ですが、日本では認可されていない材料なので、研究があまりされていない状況です。

メリット・デメリット

メリットは虫歯の大部分を残してドッグベストセメントで埋めるために、麻酔をせずに治療を行えます。デメリットは信用性に疑問符が残り、自分の家族に治療をするならまだ行うことができない治療法です。

保険や費用

ドックベストセメントは日本では認可されていないため、材料は海外から取り寄せる形になり、治療費は自費診療になります。費用は1歯5千円から1万5千円程度です。

1−2.3MIXーMP法

3MIXーMP法とは虫歯で進行した歯を抗生物質で殺菌する方法です。治療法は深い部分の虫歯を残した穴に3MIXを入れ虫歯菌に感染した歯の部分に浸透させ、無菌化させます。数十年も前から日本で行われている方法で、治療を厳密に行う必要があるので、認定医制度があります。しかし、海外ではほとんど行われていないようです。

メリット・デメリット

メリットは深い虫歯であっても全ては取り切らず、麻酔をせずに治療を行うことができます。デメリットはまだ信用性に疑問符が残り、また一部の歯科医師のみが行なっている治療法なので自分の家族に治療をするならまだ行うことができない治療法です。

保険や費用

費用は保険診療内で行っているところが多く、3割負担の方で数百円程度の追加になります。

1−3.MTAセメント

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは主に歯の成分に含まれるカルシウム系の成分で強い殺菌力と持続的な刺激で歯に再石灰化を起こさせる治療法です。MTAセメントの治療法はできるだけ感染している虫歯を取り除き、歯の神経に近い部分にMTAセメントをつけて、周りの部分を固いセメントで封鎖します。MTAセメントは最も新しい治療法です。海外での研究や日本での研究も多く、最も信頼できる治療法です。詳しくは「最新治療!MTAセメントが効果を発揮する5つの治療法」を参考にしてください。

メリット・デメリット

メリットは海外でも多くの研究が行われており信頼性の高い治療法です。デメリットは保険診療では行うことができず、また、材料の費用が高く治療費は数万円程度します。 自分の家族に行うならこの方法を選択します。

保険と費用

MTAセメントは日本で認可されていますが、保険診療では認められていない治療になります。費用は1万円〜5万円程度です。

1−4.Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザー

エルビウムヤグレーザーは虫歯にレーザーを当て、虫歯を削っていく方法です。エルビウムヤグレーザーは虫歯菌に含まれているその水分に反応し、虫歯菌に感染している部分だけを取り除きます。虫歯をレーザーで削るときに痛みが少ないため、麻酔をせずに虫歯を取り除くことができます。レーザーで虫歯を取ると効率が悪いために時間と効果を考えるとわざわざレーザーで行う必要があるのか疑問符が付きます。

メリット・デメリット

メリットは麻酔をせずレーザーによって虫歯菌だけを取り除くことができ、保険診療でも行えます。デメリットは時間がかかったり、レーザー自体の費用が高く保険診療で行っている歯医者はほとんどいないことです。レーザー自体はいい方法ですが、虫歯を取る治療にはレーザー以外の方法の方が効果的です。自分の家族にはまだ行わない治療です。

保険と費用

虫歯治療は保険内で行うことができますので、通常の虫歯治療に数百点加わる程度です。また、自費診療にて行っている歯医者もあります。5千円〜1万5千円程度です。

1−5.ヒールオゾン

ヒールオゾンはドイツで開発された機械で、オゾンを虫歯にあてることによって、虫歯を殺菌する方法です。虫歯にオゾンを数十秒あてることによって、虫歯菌が殺菌できます。ただし、オゾンは2mm程度の深さまでしか届かないため、初期の虫歯や、乳歯に使われることが多いようです。本当に効果があるのかの測定が難しく、まだ実用的ではないようです。

メリット・デメリット

メリットは浅い虫歯の場合、歯を削らずにヒールオゾンを当てて経過を観察します。デメリットは効果がわからないにもかかわらず自費診療のため数千円程度の費用がかかることです。効果がはっきりしないため自分の家族には行いません。

保険と費用

保険では認められていないため一回3千円〜5千円程度です。

1−6.カリソルブ

カリソルブはスウェーデンで開発された薬剤で虫歯の部分を軟らかくする薬です。軟らかくなった虫歯の部分をカリソルブ用の小さなスプーンで取り除きます。虫歯の部分に付けると30秒ほどで、虫歯の部分だけが溶かされますので、歯を削る器具を使わずに、虫歯を取ることができます。カリソルブは日本であまり普及していないようです。一般的にはう蝕検知液と言って虫歯の部分を染める液があります。費用も安価ですので、カリソルブを使ってまでという考えは少ないようです。

メリット・デメリット

メリットは歯医者のキーンという削る機械の音が苦手な人はおすすめです。デメリットは時間と費用がかかり、保険外診療で数万円程度必要です。わざわざカリゾルブを使うメリットが感じられないため自分の家族には使いません。

保険と費用

カリソルブは日本で認可はされていますが、保険導入はされていないため、1歯1万円〜3万円程度です。

2.虫歯の治療を細密に行うための最新機材

2−1.歯科用マイクロスコープ

マイクロスコープは医科で使われている手術用顕微鏡を歯科用に改良したものです。8倍から30倍以上の拡大率があり、肉眼で行われていた治療に比べ、超精密に虫歯治療を行うことができます。また、治療中の写真や動画なども記録でき、自分の歯がどのように治療が行われたかを確認することができます。マイクロスコープを使った治療は歯の根の治療の一部に保険導入されましたが、虫歯治療は保険導入がないため、歯医者によって無料で行われているか1万円〜5万円程度の費用がかかる場合もあります。詳しくは「歯科用マイクロスコープが歯の寿命を延ばす6つの理由と費用」を参考にしてください。

歯のブログの考え方

歯科用マイクロスコープは現在、日本での普及が広まっています。平成26年4月からの保険導入や、より精密な治療を行う歯科医師や、治療される側の知識が向上し、より精度の高い治療を求める方が増えているためです。おかざき歯科クリニックでも導入済みです。

2−2.3次元CTレントゲン

3次元CTレントゲンは虫歯を3次元で撮影するため、虫歯の深さや神経の位置などを確認して治療が行えます。通常の歯のレントゲンは1枚の平面の画像のため、虫歯の大きさや深さを経験や予測で行っていました。3次元CTレントゲンでは歯のレントゲンを立体的に撮影できるため、安全に治療を行うことができます。虫歯だけのためでは保険診療では行えず、自費診療となり1万円〜1万5千円程度です。他に保険で認められている疾患があれば保険で3千円程度です。詳しくは「最新歯科用CTレントゲン/治らない歯の痛みを解決する!」を参考にしてください。

歯のブログの考え方

3次元CTレントゲンはインプラント治療では必須の検査法です。それに伴い、虫歯や歯周病治療にも範囲が広がり、保険適用範囲も広がったため、多くの歯医者で導入を進めています。おかざき歯科クリニックでも導入済みです。

2−3.ダイアグノデント

ダイアグノデントは光を虫歯に当て、反射を利用して虫歯の深さを測る方法です。ダイアグノデントを虫歯に当てると数値で虫歯の深さが評価されるので、初期虫歯を無理に削らず経過を観察することができます。以前は短針(たんしん)という機材で虫歯を触り、硬いか軟らかいかで虫歯を削るかどうかを判断していました。その場合、歯のバリヤーが壊され、虫歯の進行が早くなるという研究成果が発表されました。

歯のブログの考え方

虫歯治療で歯を削り、人工物を歯に入れると劣化し、治療が繰り返され、最後には歯が割れてしまいます。そのようなことを避けるためにできるだけ歯を削らず、予防処置で経過観察することは歯の寿命を伸ばすために最も効果的な方法です。おかざき歯科クリニックでも導入済みです。

まとめ

虫歯の最新治療はまだまだ研究結果が揃っていない治療法もあります。しかし、歯の神経を抜かなくてはいけないほどの虫歯が、最新の治療によって改善されるケースは多くあります。ぜひ、歯の神経を抜く前に最新の虫歯治療法を検討してみてください。

おかざき歯科クリニック院長略歴

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岡崎 弘典

マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/shougai/
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/sessyoku/
がん歯科医療連携登録医 https://ganjoho.jp/data/professional/med_info/dental/files/14_kanagawa.pdf
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任

おかざき歯科クリニックでは最新の医療機器を完備

マイクロスコープ

根管治療を手術用顕微鏡で行うためのマイクロスコープです。8倍から20倍の拡大率で行うことができ、超精密な根管治療を行うことができます。

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CT‐X装置

低被ばくで高解像度のX線CT装置で歯の根の形態を3次元的に確認します。

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DACプロフェッショナル

医科の基準に準じた高度な滅菌を提供しています。ドイツ製のDACプロフェッショナルは小型高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)のヨーロッパ基準EN13060のクラスB規格をクリアーする、高度なオートクレーブです。

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DACユニバーサル

歯科の歯を削る機械を滅菌する完全オートメーション化された滅菌システムです。治療後は全ての器具をこのシステムで滅菌しています。

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セレック

セラミックを3Dプリンターのように削り出して作る装置です。詰めるセラミックなどの場合は1日で型取りからセットまで行うことができます。

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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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