前歯が急に抜けてしまった。どうすればいいのか、今後どうなるのか。とても不安になりますよね。前歯が無くなってしまうと社会生活に大きな影響が出てきます。歯抜けの状態では仕事や学校に行くのにも、マスクを付けていかなくてはなりませんよね。抜けてしまった歯をどうすればいいのかなど、前歯が抜けてしまった時の対応策とその後の治療法をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
1.歯が抜けるとは
歯が抜けるとは歯の根ごと抜けてしまうことを言います。歯にはお口の中に見えている歯冠(しかん)と歯茎の中に入っている歯根(しこん)の部分があります。歯が抜けるとは歯根部分から歯が全て抜けてしまうことを言います。その他、虫歯や外傷で歯冠部分だけが折れてしまうことを歯冠破折(しかんはせつ)、被せていたものが取れてしまうことを冠脱離(かんだつり)といい、見た目では同じように見えてしまうことがあります。
2.歯はどんな時に抜けてしまうのか
2-1.歯周病が進行して歯が抜けてしまう
歯周病は歯を支えている周りの骨が溶けてしまう病気です。日本人の80%がかかっている国民病とも言えます。歯周病が恐ろしいところは歯茎が痛い、腫れるなどの症状が出たころには歯周病が進行してしまっているところです。最終的には歯が自然に抜けることになってしまいます。詳しくは「歯槽膿漏によって歯を失わないために知っておくべきこと」を参考にしてください。
2-2.外傷で歯が抜ける
健康な歯でも歯が抜けてしまうことがあります。それは外傷です。交通事故や転倒、スポーツの時ボールが当たったなどで、強い力が歯に加わった時に前歯が抜けてしまうことがあります。外傷の場合、その他にも歯が脱臼(歯の位置がずれてしまう)や、破折(歯が折れてしまう)が起こることがあります。
3.前歯が抜けてしまった時どうすればいいのか
3-1.歯医者に連絡する
すぐにかかりつけの歯医者に連絡してください。その際、歯が元々ぐらぐらして抜けてしまったのか、外傷で抜けてしまったのかお伝えください。かかりつけの歯医者ではレントゲンやお口の中の写真などの資料がそろっているので、元々どの位置に歯があったのかなど、確認しながら治療を行うことができます。また、外傷の場合は緊急性が高いので夜間、休日診療等でも対応してもらえます。
3-2.抜けた歯は歯医者に持っていく
歯周病で抜けてしまった場合はそのまま歯医者に持っていきます。その歯を戻すことはできないのですが、応急処置等で使うことがあります。外傷で抜けてしまった場合はその歯を抜けた部分に戻せる場合があるので、新しい牛乳パックの牛乳の中に入れ、乾燥させないように歯医者に持っていきます。
4.歯医者で行う応急処置
4-1.人工の歯や自分の歯を残っている歯に接着する
抜けてしまった歯や人工の歯を加工して、両隣の歯に接着剤で付けます。前歯が無いと見た目にも社会的にも活動が困ることも多々あります。そのため応急的に抜けてしまった歯や人工の歯を抜けてしまった部分に合わせ、歯科用の接着剤を使って両隣の歯に付けます。ただし、噛んだりすると取れやすいので注意が必要です。
4-2.入れ歯に人工の歯を追加する
歯周病が進行している方は入れを使われている方も多くいます。そのため抜けてしまった歯の部分の入れ歯に、人工の歯を追加して入れ歯をそのまま使ってもらいます。
4-3.外傷で歯が抜けてしまった場合の応急処置
- レントゲンで抜けてしまった骨の状態を確認する
- 持ってきてもらった歯を洗浄する
- 麻酔をし、抜けてしまった歯を元の位置に戻す
- 抜けてしまった歯を周りの歯と、針金と接着剤で固定する
- 10日から14日程度で針金を取り除く
- 神経の処置をして経過を観察します
5.歯が抜けてしまった場合の治療方法
5-1.両隣の歯を削ってブリッジ
両隣の歯が揺れもなくしっかりしている場合は、ブリッジの治療を行うことができます。ブリッジは残っている両隣の歯を削り、3つの歯を繋ぎ合わせた様に被せて、抜けてしまった歯を補います。詳しくは「 歯のブリッジ治療をしたい人へのアドバイス」を参考にしてください。
ブリッジ治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
5-2.歯を削らずにインプラント
インプラントは抜けてしまった歯の部分の骨に、人工の歯根を植え、その上に被せものを付ける方法です。歯を削らずに新しい歯を入れることができます。ただし、インプラントを骨に入れる際は外科的な処置が必要です。体の状態によっては出来ない方もいます。詳しくは「インプラント治療で残っている前歯を削らない!ブリッジより優れている5つのこと」を参考にしてください。
前歯のインプラントの治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
5-3.取り外し式の入れ歯
ご自身で取り外しができるのが入れ歯です。歯を削ったり、骨にインプラントを入れたりする必要が無く、型を取るだけで簡便です。ただし、硬いものを噛んだりすることは出来ず、食事の時に取れてしまうこともあります。詳しくは「入れ歯が合わない人必見!あなたに合った入れ歯の種類」を参考にしてください。
入れ歯治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
5-4.応急処置のまま
人工の歯を接薬剤で付けたままにしておく場合もあります。特に下の歯の前歯は強く力がかからなければ、意外に長く持ってしまいます。
6.歯が抜けたまま放置するとどうなるか
6-1.周りの歯が動いてくる
歯が抜けたまま放置すると周りの歯が傾いてきます。歯がないところには前後の歯が倒れこみ、噛み合う歯が伸びてきます。長期間放置してしまうと、歯の並びが変わってしまい、いざ治療をしようとした時には一度、部分矯正で治してから治療をする必要が出てきます。
6-2.歯があった骨の部分が痩せてくる
歯が無くなってしまった骨の部分は骨が痩せてきます。インプラントを希望する場合には骨を作る処置を同時に行う必要があります。
6-3.噛み合わせがずれてくる
歯は1本ないだけでも左右の筋肉のバランスが崩れ、噛み合わせがずれてくることがあります。長期間放置することによって顔の形まで変わってしまうことがあります。詳しくは「奥歯の抜歯後、そのままにすると顔の形まで変わってしまう!」を参考にしてください。
まとめ
特に前歯が抜けてしまった場合、社会生活を送る上で大変困ってしまいます。定期的にメンテナンスで通っている歯医者があれば、歯周病で歯が抜けてしまう可能性を予測できます。また、外傷で抜けてしまった歯も、戻す時に位置や方向を以前の写真を確認しながら行うことができます。自分のお口の中を分かってくれているかかりつけの歯医者を作っておくと安心です。