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MFTとは/歯列矯正で舌や口の周りの筋トレを行う4つの理由

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歯列矯正を行うときに口の周りの筋トレを一緒に行っている方も多いのではないでしょうか。この筋トレはMFTと言って口の周りの筋肉を正しい動きにするためのトレーニング法なのです。実は矯正治療とMFTを一緒に行うと矯正期間が早くなったり、矯正治療後の後戻りが少なくなり、綺麗な噛み合わせが安定するのです。歯列矯正医にとって歯並びを治すことは難しいことではありません。しかし、歯列矯正の本当の目的は正しい噛み合わせと機能の回復なのです。そのためMFTを取り入れて歯だけでなく、口の周り全体の機能改善を行います。今回は歯列矯正で舌や口の周りの筋トレを行う4つの理由をお伝えします。ぜひ参考にしてください。

1.MFTとは

MFT(Myofunctional Therapy)とは筋機能療法のことで、正しい口の周りの筋肉などの異常な動きを改善することによって、歯並びを治す治療を筋機能療法といいます。

実は歯並びが悪くなる原因の多くは、飲み込む時の異常な舌や口の周りの筋肉の動きが、歯や歯を支えている骨の部分に影響を与え、出っ歯や受け口、開口などの悪い噛み合わせになります。

そのため、正しい口の周りの筋肉の使い方をトレーニングすることによって歯並びの改善や矯正治療後の後戻りを防ぐことをMFT(筋機能療法)といいます。

治療例

前歯の隙間、受け口傾向、下の凸凹があります。ものを飲み込む時に舌を歯と歯の間に入れ込んでしまう癖があるため顎が狭くなり、前歯が舌で外に押し出されています。MFTで治療を開始します。

前歯の並びは整ってきましたが、まだ前歯がしっかり噛んでいません。犬歯が八重歯の位置にあります。

奥歯まで綺麗に噛んでいます。噛み合わせは大きな問題はありません。細かいズレが気になるようであれば短期間矯正装置をつけて治療をします。

 

2.歯列矯正で舌や口の周りのMFTを行う5つの理由

2−1.歯並びを悪くしている原因を治療するため

歯並びは口の周りの筋肉や飲み込んだ時の舌の動き、口呼吸などによって悪くなります。そのためMFTで口の周りの筋肉が正常な状態に改善できれば、歯ならびが綺麗になってしまうこともあるのです。もちろんすべての歯並びが綺麗になることはありませんが、MFTで治らない歯並びだけを矯正器具で治療をすればいいのです。

2−2.矯正期間を短くするため

歯列矯正は矯正器具であるブラケットを平均すると2年くらい歯に接着剤でつけます。そしてブラケットにワイヤーを通して弱い力で歯並びを綺麗にしていきます。しかし、舌や口の周りに歯並びを悪くする力がかかっているとワイヤーで歯を動かそうとしても、動かず筋肉の力で戻されてしまいます。そのためいつまでたっても歯並びが綺麗にならないのです。MFTで口の周りの癖を改善しておけばスムーズに歯列矯正が行われ、治療期間が短くなるのです。

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2−3.治療後の後戻りを防ぐため

歯列矯正で歯並びが綺麗になった後はリテーナーという器具で、戻ろうとする力がなくなるまで抑えておく必要があります。歯並びを元に戻そうという力は口の周りの筋肉の悪い動きです。そのためMFTで悪い癖を改善しておけば矯正治療後の後戻りを防ぎ、リテーナーの使用期間を短くすることができます。詳しくは「今からが重要!矯正後のリテーナーが必要な理由/使用法と期間」を参考にしてください。

2−4.正しい機能を獲得するため

MFTは舌や口の周りの筋肉、呼吸などの正しい機能を改善する治療法です。歯列矯正では歯並びは綺麗にできますが、機能を改善するわけではありません。矯正治療でMFTを行うことによって綺麗な歯並びと正しい機能を改善することができます。

3.歯並びに影響を与える口の周りの癖や形態

3−1.異常嚥下癖(いじょうえんげへき)

異常嚥下壁とは食べ物などを飲み込む時、口の周の筋肉に異常な力が入ることです。異常嚥下壁によって出っ歯になったり、舌の前歯が内側に倒れたり、上の顎がV字のようになったりして、噛み合わせを悪くします。MFTと行うことによって正しい飲み込み方をできるようになり、歯並びも改善してくれることがあります。

3−2.舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)

舌突出癖とは舌がいつも上下の歯の間に入り、開口(かいこう)になってしまうことです。常に舌が歯と歯の間に入り込むことによって、前歯がかみ合わず開口という常に上下の前歯が噛まない歯並びになってしまいます。MFTを行うことによって正しい舌の位置を覚えることによって、自然に前歯が噛めるように歯並びを改善していきます。

3−3.口呼吸(こうこきゅう)

通常呼吸は鼻呼吸で行われます。スポーツをしている時など多くの酸素が必要な時に口呼吸を行います。口呼吸の方は平常時でも口で呼吸を行い、いつも口がぽかんと開いている状態になります。多くの場合アレルギー性鼻炎などで鼻呼吸ができない場合が多く、鼻の治療とMFTを並行して改善していく必要があります。詳しくは「口呼吸によって起こる9つの危険と6つの改善方法」を参考にshてください。

3−4.指しゃぶり

指しゃぶりが永久歯が出てくる時期まで残っていると、出っ歯になることがあります。指しゃぶりによって出っ歯、開口、上顎がV字になったりして、噛み合わせに多くの影響が出ます。4歳くらいまでに指しゃぶりが取れれば歯並びが戻ることがあります。詳しくは「指しゃぶりが子供の歯並びやお口の機能に与える7つの影響と対応策」を参考にしてください。

3−5.低位舌(ていいぜつ)

低位舌とは舌が低い位置にあり下の前歯を押してしまうことによって受け口になりやすくなります。舌は通常上顎に位置していて、舌の力で上顎を広げます。MFTで正しい舌の位置を覚えることによって受け口が改善されることがあります。

3−6.舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)

舌小帯とは舌の裏側にある筋のことで、舌小帯が上顎に付けられないくらい短いことを舌小帯短縮症と言います。MFTを行うことによって舌小帯を伸ばし、正常な動きができるようにします。MFTで改善しない場合は舌小帯を切除する場合があります。詳しくは「舌小帯が短いと受け口になる/切らずに伸ばす方法」を参考にしてください。

3−7.下口唇を噛む癖

舌の唇を噛む癖があると下の前歯が内側に倒れ、下の前歯が凸凹になったり、上の前歯が出っ歯になることがあります。MFTで癖を治していくと自然に歯並びが改善することがあります。

4.主なMFTのトレーニング

4−1.スポットポジション(正しい舌の位置を覚える)

スポットポジションとは舌の先をいつも付けておく位置のことです。鼻で呼吸している時やものを飲み込む時などスポットポジションに舌先があるようにします。

4−2.スラープスワロー(正しい飲み込み方を覚える)

舌を上顎に吸い上げストローを噛みながら、口の横からスプレーで水を入れて吸い込んで飲みます。舌先はスポットポジションを意識し、奥歯は噛んだ状態で水を飲み込みます。

4−3.バイトホップ(噛む力と舌を持ち上げる力を強くする)

舌全体を上顎に吸い上げて奥歯を噛みしめたあと、口を大きく開けて「ポン」と音を出します。舌の先はスポットポジションに付け、舌小帯をできるだけ伸ばすようにします。

5.MFTと併用する矯正装置

5−1.ムーシールド

ムーシールドは子供の受け口を治すマウスピースタイプの矯正装置です。低位舌の舌をムーシールドで上にあげ、舌が下の前歯を押さないようにします。ムーシールドだけでは外したときに、舌の癖が元に戻ってしまうので、MFTを行いながら受け口を改善していきます。詳しくは「子供の受け口を治すムーシールドの3つの効果と使用法・費用」を参考にしてください。

5−2.T4K

T4Kは出っ歯や乱杭歯(らんぐいば)を治すためのマウスピースタイプの矯正装置です。シリコン製のマウスピースで弱い力で歯の位置を整えていきます。出っ歯の方は唇の筋肉が弱い方が多いので、MFTで口の周りの筋肉をトレーニングして、前歯を唇で元に戻らないように抑えます。

5−3.拡大床

拡大床は狭い顎を拡げる装置です。MFTだけでは改善できないような狭い顎の場合は拡大床を使って、顎を強制的に拡げながら、歯並びを改善していきます。拡大床で顎を拡げることによって舌の位置が安定し、よりMFTの効果が発揮しやすいようになります。詳しくは「顎を広げる!子供の床矯正のメリット、デメリット/費用と期間」を参考にしてください。

6.歯科医師、歯科衛生士の方へ

近年お口の機能が低下しているお子さんは多くいます。口呼吸や異常嚥下癖などによって歯並びに悪影響を与えたり、むし歯のリスクも高まります。これらの異常に気付けるのは歯科医師や歯科衛生士です。ちょっとしたアドバイスやトレーニングを行うことで矯正治療を行わなくても済む方もいます。MFTの講習を受け、診療に役立てたい方に、さいとう歯動塾の「MFT実践セミナーや出張MFTセミナー」をおすすめします。受講できるのは医療関係者のみとなります。

まとめ

歯列矯正は見た目や歯並びだけを治すものではなく、口の中の機能を改善し、調和のとれた口元を整えることです。MFTは自分自身でも行わなくてはいけないトレーニングなので、矯正治療だけを受けるよりも大変です。MFTは自分や子供の将来のためには必要な治療法なので、ぜひ頑張って続けてください。

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