歯の神経治療が長くなるといつ終わるのか不安になりますよね。また、何度も何度も通わないといけないので仕事や家事で時間が取れず、途中で挫折したくもなります。
本当にこんなに時間がかかるのか、このままこの歯医者で治療を続けていて治るのか。こんな悩みにお答えします。
歯の神経の治療の回数から、歯の神経治療が早く丁寧に終わる歯医者の見分け方まで、詳しくお話ししますので参考にして見てください。
1.90%が3回以内に終わる歯の神経の治療
1〜3回かかる人
歯の神経の治療の90%は1〜3回で終わります。始めて神経の治療をする歯は3つのことをします。歯の神経を取る、消毒する、お薬を詰めるです。そして歯の神経の管は1〜4本あり、この3つの治療を全ての管に行うため、管の数が多いほど時間がかかります。例えば神経の管が1、2本の場合は1、2回、3、4本の場合は2,3回かかります。
始めての歯の神経の治療の時に細菌が神経の管に残ってしまうと、何年かしてからやり直さなくてはいけなくなるので、歯の神経の治療は一回目が重要なのです。
左は治療前の状態です。歯の中に見える黒い線が神経の入っている空洞です。右は歯の神経を取り除き、レントゲンで白く見える薬を詰めた状態です。入っている薬は2本に見えますが実際の根は3本あります。今回の根の治療は2回で終わっています。
4、5回かかる人
歯の神経の治療の7〜8%は4,5回かかります。初めの歯の神経の治療がうまく行かず、根の先に膿がたまってしまったり、歯の痛みを我慢してそのままにしていたら神経が死んで、根の中が腐ってしまうと、根の中を消毒するのに時間がかかってしまいます。
例えば、歯の神経の治療をやり直す場合、以前いれたお薬を一度取ってから、消毒をします。お薬は細菌が入らないようにするためしっかり詰まっていて、溶かしながら取って行きますので、始めての神経治療より、余分に時間がかかってしまいます。
根の先に膿の袋が出来てしまったため、以前治療されたかぶせのや薬を全て取り除き、再度消毒をしてから薬を詰め直しています。診療回数は4回かかりました。
・治療内容:1回目金属や歯の中の土台を取り除きます。2回目根の中の古い薬を取り除きます。3回目根の中を消毒します。4回目、根の中に薬を詰めます。
・治療回数:2回その後、被せ物の治療を行います。
・費用:総額8千円程度 / 内訳 検査3千円、根の消毒3千円、薬を詰める治療2千円(保険適用内)
・リスク:根の形態が複雑な場合には治療回数が増える場合があります。
・副作用:治療後の痛みや噛んだ時の痛み、違和感が出る場合があります。
6回以上かかる人
歯の神経の治療の2〜3%は6回以上かかります。お口の中の細菌が歯だけではなく、顎の骨まで広がってしまうと、消毒するのに時間がかかります。
例えば、神経の治療をしている途中に歯医者に行けなくなって、時間が空いてしまうと、仮の蓋のすき間からお口の中の細菌がどんどん入り、周りの骨を溶かします。歯だけではなく周りの骨も治るのを待たなくてはいけないために多くの時間がかかってしまいます。
また、以前の治療で歯の根の中に器具が残っているとそれを取り除かなくてはいけないため治療回数がかかってしまいます。
以前の治療で根の先に膿の袋と治療用の器具が残っていたため、治療を行いました。治療回数は7回で器具を取り除くのに時間がかかってしまいました。歯の根の中が綺麗になったところで再度薬を詰め直しています。
・治療内容:被せ物、古い薬を取り除きます。根の中にある器具を超音波の振動を加えながら取り除きます。最後に薬を詰めます。
・治療回数:7回その後、被せ物の治療を行います。
・費用:総額1万円程度 / 内訳 検査3千円、根の中の消毒3千円、器具を取り出す千円、薬を詰める治療2千円(保険適用内)
・リスク:根の形態が複雑な場合には治療回数が増える場合があります。
・副作用:治療後の痛みや噛んだ時の痛み、違和感が出る場合があります。
根管治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。具体的にイメージが湧くと思います。
2.歯の神経治療が早く丁寧に終わる歯医者の見分け方
2-1.歯の神経をできるだけ残してくれる歯医者
歯の神経をとってしまうと、歯の寿命は短くなってしまいますし、治療回数も増えてしまいます。虫歯が深くてもできるだけ神経を残してくれる歯医者を選びましょう。
10年前とは違い歯の神経を残す方法も新しくなって、虫歯が神経まで広がっていても強い痛みが無ければ神経を再生させる薬(MTA)で神経を保護して神経を残すことができるようになりました。詳しくは「歯の神経を抜く前に知っておきたかった7つのことと最新治療法」を参考にしてください。
MTAセメント治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
2-2.予約の時間を30分以上とってくれる歯医者
歯の神経の治療は細かい管をきれいにして消毒していきます。唾液が根の管の中に入らないようにするためマスクをしたり、仮のふたをとったり準備にも時間がかかります。15分や20分の予約時間ではちょっとお薬を変えただけで終わってしまい、何度も通わなくてはいけません。
口を1時間、開け続けるのも大変なので大体30分くらいの予約で治療をしてもらえると治療がスムーズに進みます。もちろん治療を受ける側もキャンセルしないように約束を守りましょう。
2-3.根の中に細菌が入らないようにマスクをしてくれる歯医者
歯の神経の治療の大敵は細菌です。この細菌は唾液の中に多くいます。根の神経の管を消毒する際、唾液が中に入ってしまうと痛みが続いたり、何年かした時、やり直しをしなければいけなくなることがあります。
そのためにマスク(ラバーダム)を使って、絶対唾液を根の中に入れないようにして治療をしてくれる歯医者を選びましょう。詳しくは「歯の寿命はこれで決まる!歯の根の治療の根管治療と全情報を大公開」を参考にしてください。
ラバーダムについてわかりやすく動画にまとめましたので、こちらをご覧ください。
2-4.マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使ってくれる歯医者
歯の神経の治療は目では見にくい細かい管を探します。肉眼では限界があり、その管を取り残してしまうと痛みが取れなかったり、根の先の膿がたまったりいつまで経っても治療が終わりません。マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使うと何倍もの拡大したレンズから歯の根の中を確認しながら治療を行うことができます。マイクロスコープを使っている歯医者で、歯の根の中の取り残しのないように確認してもらいながら治療をしてくれる歯医者を選びましょう。
2-5.複雑な根の形をCTで確認してくれる歯医者
歯の神経の管は曲がっているものもあれば、二手に分かれているものもあります。曲がっている方向は、普段見ている2次元のレントゲンでは見ることはできません。見えないものを手探りで行っても時間ばかりかかってしまい、いつまで経っても根の治療は終わらないので、CTで根の方向を確認しながら治療を行ってくれる歯医者を選びましょう。
2-6.神経の汚れを早く取るための器具を使ってくれる歯医者
歯の神経治療の最後は、神経の入っていた管の中に薬を詰めることです。この薬を詰める時に管がスムーズな形をしているとしっかり詰められます。この形を形状記憶のファイル(根の治療に使う針金)で行うと手で形を整えるより、時間が1/3以下になります。治療時間を極力短くしてくれる歯医者を選びましょう。
3.歯の神経の治療後に痛みが出た時の対処法
3-1.歯の神経を取る治療後に痛みが出たら
歯に痛みがあって神経を取る治療をしたのに、噛むと痛いなどの痛みが出ます。また、歯の根の中に薬を入れる時も、空気が入らないように圧を加えるために、刺激で痛みが出ます。一時的な痛みが多いので痛み止めを飲むか、噛むと痛みが強い時は噛み合わせを調整してもらいます。詳しくは「いつまで続くこの痛み!歯の治療中、治療後の歯痛の原因と対処法」を参考にしてください。
3-2.歯の根の治療中、歯茎が腫れることがある
歯の神経が死んで根の先に膿が溜まっている歯の根の治療をすると歯ぐきが腫れることがあります。
根の中の汚れを取ると、体が根の先に溜まっていた細菌を外に出したがり、根の中からだけでなく歯ぐきの方へ出そうとするために歯ぐきが腫れます。心配せずに歯医者さんで膿を出してもらい、抗生物質で悪い細菌を叩けばすぐに落ち着いてきます。詳しくは「歯茎が腫れた時、自宅でできる応急処置と治療法」を参考にしてください。
4.歯の根の治療をしても治らない時、次の一手
残念ながら神経が死んでしまい、一度膿が溜まると根の治療をしても治る確率は70~50%です。また、何度消毒しても根の先の痛みが取れない場合もあります。これは根の先が腐っていたり、割れていたり、根の中からの消毒では治らない状態になっています。だからといってすぐに抜くわけではありません。次の一手があります。
一つは根の先と膿の袋を歯ぐきの方から取る治療法(歯根端切除術)です。歯ぐきの方から膿を取り、根の先にお薬を詰めます。例えば、前歯にセラミックを被せてある場合、根の治療をするとセラミックを壊さなければなりません。こんな時にも歯根端切除術は使えます。
二つ目は歯を一度抜いて悪い部分を取り、戻す治療法(歯牙再稙法)です。奥歯は骨が厚く歯根端切除術は使えません。そこで歯牙再稙法を使い根の先に溜まった膿を取り、根の先にお薬を詰めて戻します。もちろん全ての歯に使える方法ではありませんが一度、抜歯をする前に歯医者で相談して見てください。
詳しくは「歯の根の先に膿が溜まる歯根嚢胞/8つの症状と治療法」を参考にしてください。
歯根端切除術の治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
おすすめクリニック
おかざき歯科クリニックの基本情報
ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
土 9:00~13:00 14:00~18:00
木・日・祝日:休診日
院長経歴
岡崎 弘典
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/shougai/
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/sessyoku/
がん歯科医療連携登録医 https://ganjoho.jp/data/professional/med_info/dental/files/14_kanagawa.pdf
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任
まとめ
近年、歯の治療も進化し続けています。歯の神経を残す為のMTAセメント、神経を取る時に使うマイクロスコープ、根の状態を確実に診断する歯科用3DCTなど新しい治療法や機材が増えています。
歯の神経が無くなると歯の寿命は確実に短くなり、幾ら新しい治療法が増えても歯は削れば削る程、薄くなり最後は割れてしまい、こうなると抜歯しなくてはなりません。歯医者で自分にはどの治療が適しているか、相談して見てください。きっと良い治療法が見つかるはずです。
注意:このページに記載されていることは一般的に起こることです。個人差が有りますので全ての人に起こることではありません。詳しくは歯科医院にてご相談下さい。