歯磨き以外に虫歯予防をしている方は少ないのではないでしょうか。子どもにはフッ素塗布など行っていても、自分には面倒でしていない方も多いですよね。実は、虫歯は最も予防しやすい病気の一つです。にもかかわらず、6年毎に行われる厚生労働省「歯科疾患実態調査(平成17年)」の報告では、成人の9割以上に虫歯があり、40歳以上では以前よりも虫歯の数が増えていることが報告されました。今回は自宅や歯医者でできる方法や最新の虫歯予防法まで詳しくお話します。是非、今日から実践してみて下さい。
1.虫歯って何?
歯の表面はプラークでおおわれており、この中に虫歯菌が住んでいます。虫歯菌は食べたり飲んだりしたものの中に含まれる、炭水化物や糖を利用して歯を溶かす酸を作ります。この酸が歯の表面を溶かします(脱灰)。溶かされた歯は唾液の働きによって元に戻ります(再石灰化)。歯は食事のたびに脱灰と再石灰化を繰り返し、このバランスが崩れた時に虫歯になります。
虫歯は虫歯菌が大好きな砂糖を過剰に摂取する頻度が増えたり、歯磨きが不十分な時期が続いたりするなどの生活習慣の悪化が重なって発症することがほとんどです。自分に甘くなった隙をついて、虫歯菌が歯を蝕むことになります。特に過去に治療した詰め物がある人の場合は、詰め物と歯の間に細菌が潜んでいますので、虫歯になるリスクが高くなります。
2.虫歯予防
- 虫歯になりにくい人は☆のものまで行う
- 詰め物が4個以下の人は☆☆のものまで行う
- 最近虫歯になったり、詰め物が5個以上の方は☆☆☆のものまで試してみる
- 乳歯や生えたての永久歯があるお子さんは小マークの付いたものを行う
2-1.自宅でできる虫歯予防
① 虫歯菌が増える寝る前の歯磨きが一番大事☆小
寝る前の歯磨きが一番重要です。寝ているときは虫歯菌が活発になり、唾液の量も減るため虫歯になりやすい時間帯です。朝は口臭予防、昼は身だしなみ、夜は虫歯予防を意識してもらえば虫歯予防がしっかりできます。
② 20%磨き残しを減らすことができるデンタルフロス☆小
歯ブラシでは60%、デンタルフロスでは20%の汚れを落とすことができます。虫歯の90%は歯と歯の間から出来てしまうことを考えると、歯と歯の間の汚れを落とすこの20%には、それ以上の効果があることがわかります。歯磨きの時はデンタルフロスを先に行う習慣を付けてみてください。詳しくは「歯医者は絶対やっている!デンタルフロスで虫歯や歯周病を防ぐ方法」を参考にしてください。
③ 歯磨き粉の量は多め、ゆすぎは少なめ☆小
現在の歯磨き粉の多くにフッ素が含まれていて、このフッ素のおかげで日本人の虫歯が減ってきました。フッ素をできるだけお口の中に残すために、歯磨き粉の量は多め、ゆすぐのは1,2回程度で味が残るくらいにすると効果的です。詳しくは「汚れを取るだけじゃない?歯磨き粉の最も効果的な使い方」を参考にしてください。
④ 1日一回フッ素洗口の虫歯予防習慣☆☆小
虫歯のリスクが高い方や子供には寝る前に一回フッ素洗口を行います。また歯磨き粉の味が苦手な子供にもおすすめです。無味無臭で、歯医者で売っている「フッ化ナトリウム洗口液」はそのままゆすぐことができるのでおすすめです。歯医者で購入可能です。
⑤ 一日3度の健康的な食事で虫歯退治☆☆小
歯は食事のたび、間食のたびに虫歯菌が酸を出し、歯を溶かします。唾液によって溶けた歯は戻りますが、間食が多い人や、飴や糖分の入った飲み物を常に口にしている方は歯が溶け続け、虫歯になってしまいます。健康的な食生活をおくれば虫歯は予防できます。
⑥ 歯磨きできないときの簡単キシリトール☆☆小
仕事や学校の昼休みに歯磨きをすることってなかなか大変ですよね。もちろんしたほうが虫歯予防にはいいのですが。どうしてもできないときはキシリトールガムを一粒かんでください。虫歯の発生や進行を抑える効果があります。詳しくは「キシリトールの虫歯予防効果/100%で効果絶大」を参考にしてください。
2-2.歯医者で行う虫歯予防
① プロに教わるブラッシング方法☆小
自己流で行うと、必ず変な癖がついてしまいます。ブラッシングも一度しっかりプロの歯科衛生士に教わってみてはいかがでしょうか。お口の中は年齢によっても、歯茎が下がったり、ブリッジが入ったなどで変化します。自分に合ったより効率のいい磨き方を教えてくれるはずです。詳しくは「虫歯や歯周病を徹底的に防ぐ『歯磨き力』をつける6の秘訣」を参考にしてください。
② 自分で磨けない部分を磨いてもらうクリーニング☆小
歯ブラシやデンタルフロスで汚れが取れるのは80%までと言われています。残り20%は定期的にプロの歯科衛生士に汚れを取ってもらいましょう。100%を目指して頑張りすぎたり、歯茎に傷をつけてしまうよりも、磨けていないところをプロに任せて、磨き方のアドバイスをもらったほうが楽にブラッシングができるはずです。詳しくは「歯医者で行うクリーニングの6つの疑問とセルフクリーニングの4つの手順」を参考にしてください。
③ 歯を強くするフッ素塗布☆☆小
フッ素塗布は初期虫歯を治す、歯を強くする、虫歯菌の活動を抑える3つの効果がある虫歯予防には最も優れたものです。詳しくは「フッ素塗布が虫歯を予防する効果と自宅でできるフッ素の使い方」を参考にして下さい。
フッ素塗布の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
④ 虫歯菌の数を知る細菌検査☆☆小
虫歯の原因であるミュータンス菌の割合は減らすことができません。この菌は主に親から感染することが多い菌です。ミュータンス菌の数が多ければ親子で虫歯予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。
⑤ 虫歯になりやすい溝を埋めるシーラント 小
乳歯や生えたての永久歯、特に6歳臼歯は溝も深く、生えている途中で虫歯になってしまいます。シーラントは初期の虫歯を閉じ込めて活動できなくし、含まれているフッ素で歯を固くして虫歯を治療します。また、深い溝を埋めて虫歯菌が繁殖する住みかをなくしてしまいます。詳しくは「シーラントは子どもの虫歯を66%予防する」を参考にしてください。
2-3.虫歯予防のために行っておいた方がいいこと
① 虫歯になる前に親知らずを抜く☆
斜めや横向きに生えている親知らずは、食べ物が詰まりやすく、歯磨きが難しいこともあり、虫歯になりやすい歯です。そのため親知らずだけでなく手前の歯も虫歯になりやすくなります。早めに抜歯をして磨きやすい環境を作ってあげることが大切です。。詳しくは「親知らずが原因で起こる6つの痛みのメカニズムと痛くない抜歯法」を参考にしてください。
② 虫歯菌がつきにくいセラミックを入れる☆
大人の多くの虫歯はやり直しの虫歯治療です。金属やプラスチックは虫歯菌が付きやすい材料のため定期的にやり直しが必要です。セラミックは劣化も少なく、汚れも付きにくい材料なのでやり直しの治療を防ぐことができます。詳しくは「70%の人が行っているセラミック治療/彼らが銀歯にしない6つの理由」を参考にしてください。
③ 磨きやすい歯並びのために矯正治療をする☆☆小
歯に凸凹があると汚れがたまりやすくなり虫歯になります。歯並びを治すことによってブラッシングがしやすい環境を作ります。また、歯並びが悪いところは自浄作用や唾液の流れも悪くなり虫歯のリスクが上がります。
2-4.最新の虫歯予防
① 最新:トータルで虫歯を予防する唾液検査☆☆☆小
虫歯予防で最も効果的な方法は自分を知ることです。唾液の量と力とともに虫歯菌の数、食事の頻度、虫歯の経験、汚れのつき具合を分析し、虫歯になる確率を出し、自分の虫歯のなりやすさがわかります。科学的根拠に基づいて虫歯予防を行うことによって効率的な虫歯予防ができます。スウェーデンで開発されたカリオグラムというソフトです。
② 最新:虫歯菌をお薬で殺す3DS☆☆☆
マウスピースを使って薬を隅々まで浸透させる方法です。歯医者で型どりをしてマウスピースを作ってもらい、歯磨きの後、マウスピースに虫歯菌を殺菌する薬や、歯のミネラルを補給する薬を入れることによって、唾液に洗い流されないため、長時間薬をお口の中に置くことができるので、虫歯になりやすい人に効果的です。
③ 最新:予防プロバイオティクス☆☆☆
プロバイオティクスとは悪い菌(悪玉菌)が増えたとき、良い菌(善玉菌)を増やして細菌のバランスを整えることです。口の中の場合、歯周病菌や虫歯菌などの悪玉菌が増えると歯や歯茎に悪い影響が及びます。
プロバイオティクスで善玉菌を増やすことによって、口の中の悪玉菌の比率を相対的に減らし、口の中のバランスを整え、正常な状態に近づける予防法です。
おすすめクリニック
おかざき歯科クリニックの基本情報
ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
土 9:00~13:00 14:00~18:00
木・日・祝日:休診日
院長経歴
岡崎 弘典
日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任
まとめ
虫歯は決してお口の中の問題だけではありません。全身にも影響がでてきます。虫歯がひどくなると、虫歯菌が歯髄にまで及び、このル-トを通じて、お口の中の細菌が全身の血管に侵入した場合、血管内に付着して炎症を引き起こす可能性があります。また、自分の歯が少なくなると、あまり噛まなくても食べられる軟らかな食品を好む傾向になります。軟らかな食品には吸収の早い糖質が多く含まれるため、血糖値を急激に上げる危険性や、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドロ-ム)を招くきっかけにもなるとも言われています。健康で長生きするために、虫歯予防に励んで、キレイなお口を保ちましょう。