根管充填とは/歯の根の中の隙間を埋めて細菌のすみかをなくす治療

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

今、歯医者に通い、歯の根の治療をしている方も多いのではないでしょうか。歯医者で口を開け、歯科医が歯の根の中を針金のようなものでガリガリとしているが、自分では見えないため何を行っているのか不安になりますよね。これは根管治療(こんかんちりょう)といって歯の根の中に入ってしまった細菌や汚れをきれいにする治療です。
そして、根管治療の最後に、「歯の根の中がきれいになったので薬を詰めていきます」と言って歯の根の中にグイグイと何かを押し込んでいきます。これが根管充填(こんかんじゅうてん)です。
根管充填がしっかり行われていないと後から歯茎が腫れてきたり、痛みが出たりする場合もあるのです。今回は根管充填について詳しくお伝えします。

1.根管充填とは

根管治療の最後に行う治療で、根管治療によってきれいにした歯の神経が入っていた空洞(歯髄腔:しずいくう)に薬を詰めることです。根管充填の時に歯の根の中に空洞ができてしまうと、その空洞に細菌が繁殖してしまいます。そのため緊密に薬を根の中に入れる必要があります。

1−1.レントゲンで映る白い線

根管充填の後には必ず、薬がしっかり入っているのか確認のためのレントゲンを撮影します。歯の神経の治療をされ、ご自身のレントゲンを確認された方は、この歯の中に映る白い線のような根管充填を見たことがあるかもしれません。
根管充填は歯の根の数だけ行います。前歯の場合は1本入れることが多いのですが、奥歯になると3本、4本と多くなります。

1−2.根管充填に使う薬

根管充填には多くの場合ガッタパーチャという樹脂を使います。組成は酸化亜鉛66%、ガッタパーチャ20%その他です。ガッタパーチャは適度な硬さと柔軟性があるため歯の根の形態に合わせることができます。また、ガッタパーチャと歯の根の隙間を完全に埋めるためにシーラーというノリみたいなものをつけて、ガッタパーチャを歯の根の中に押し込んでいきます。

最新治療

根管治療を何度も繰り返してしまうとガッタパーチャでは埋めることができないくらい歯の根の先が広がってしまうことがあります。このような場合には根管充填の薬にMTAセメントという薬を使います。MTAセメントはコンクリートのようなセメントで歯の根の中の空洞をセメントで埋めて、細菌が繁殖しないようにします。

2.根管充填の治療の流れ

2−1.虫歯が歯の神経の歯髄まで進行している

虫歯が進行すると虫歯菌が歯の神経の歯髄(しずい)に達します。歯髄が入っている歯の中の空洞を歯髄腔(しずいくう)と言います。歯髄腔は歯髄にダメージが及ぶと免疫力が働かなくなり、自分で細菌を排除することができなくなります。そのため細菌に感染した歯の神経を取り除きます。詳しくは「激痛の時の治療法/歯の神経を抜く抜髄(ばつずい)とは」を参考にしてください。

下のレントゲンは左上の歯の虫歯が進行し、歯の神経である歯髄まで細菌が入り込んでしまった状態です。ここまで虫歯が進行すると痛みが出てくることが多いです。

2−2.歯髄腔の中の汚れや細菌を取り除く

歯髄腔の中に入り込んでしまった細菌を治療用の針金(ファイル)で歯の壁を削り取りながら、取り除いていきます。歯の根の数や状態によって時間や回数が必要となります。また、歯髄腔の形を根管充填しやすいように整えていきます。詳しくは「歯の寿命はこれで決まる!歯の根の治療の根管治療と全情報を大公開」を参考にしてください。

2−3.根管充填は隙間ができないように緊密に行う

根管治療によって歯の根の中の細菌が少なくなってきたところで、根管充填を行います。根管充填は細菌の住処になる隙間を残さないように緊密に薬を詰めていきます。そのため薬を詰めている最中や詰めた後に一時的に痛みが出ることがあります。ほとんどの場合、2、3日で落ち着いてきます。痛みが強い場合は痛み止めをのむようにしてください。

下のレントゲンは根管充填した後のレントゲン写真です。歯の神経のあった部分に白い線のようなものが見えます。レントゲンに写っている隔壁(かくへき)は根管治療をするときに唾液が歯の根の中に入り込まないようにするための壁です。

3.根管充填を成功させる方法

3−1.口の中をきれいに保つ

歯や歯茎に歯垢が多く残っていると根管治療の際に細菌が歯の根の中に入り込む確率が高くなります。また、歯茎が腫れていると歯茎から出血が起こり、歯の根の中に入ってしまうこともあります。そのため、口の中は綺麗にしておく必要があります。

3−2.ラバーダムを使っている歯医者を選ぶ

ラバーダムとは歯にかけるゴムのマスクです。根管充填の時に唾液や細菌が入り込んでしまうと歯の根の中で感染を起こし、歯茎が腫れたり痛みが出てしまうことがあります。そのため根管充填や根管治療の時にラバーダムを使ってくれる歯医者で治療をした方がいいのです。詳しくは「ラバーダム防湿で根管治療をすると成功率が上がる5つの理由」を参考にしてください。

3−3.根管充填後早く被せ物をする

根管充填をしてから時間が空いてしまうと根管充填した薬の隅間から細菌が入り込んでしまいます。根管充填した後にはできるだけ間を空けずに被せ物をした方が歯の中に細菌が感染する確率を減らすことができます。

3−4.根管充填後はセラミックを被せる

根管充填した歯は抵抗力がなく口の中の細菌に感染しやすい状態です。そのため歯と強く接着するセラミックなどで歯と被せ物の隙間がないもので被せなければ、歯の中に細菌が入り込みやすくなります。

4.根管充填をやり直さなければいけいない場合

4−1.根管充填してある歯に歯根嚢胞(しこんのうほう)ができている場合

歯の根の先に膿が溜まる歯根嚢胞が根管充填してある歯にできてしまった場合には根管充填をやり直す必要があります。根管充填している薬を全て取り去り、再度歯の根の中をきれいにして根管充填をやり直します。詳しくは「歯の根の先に膿が溜まる歯根嚢胞/8つの症状と治療法」を参考にしてください。

4−2.銀歯の隙間から虫歯ができている場合

銀歯の下や隙間から虫歯ができてしまった場合には根管充填をやり直す必要があります。虫歯菌が歯の中に感染している場合、将来的に歯根嚢胞ができてしまう可能性があります。

5.根管充填のやり直しの成功率は70%程度

5−1.初めて根管治療を行う歯の根管治療専門医の成功率は96%

根管治療をしたことのない歯に根管治療専門医が根管充填をして成功する確率は96%程度です。根管充填をやり直す場合には70%まで落ちます。3度、4度目になると成功率は40%程度となります。やり直せばやり直すほど根管充填の成功率は落ちてしまいます。そのため一番初めの治療を成功させ、その後は歯の中に虫歯菌を感染させないことが重要です。詳しくは「根管治療の専門医が行っている最新治療法と一般歯科との治療の違い」を参考にしてください。

5−2.初めて根管治療を行う歯の一般歯科医の成功率は60%

ちょっと驚く数字ですが一般の歯医者で根管治療を行うと成功率は60%しかないのです。ラバーダムもせずに根管治療や根管充填をすれば成功する確率はさらに下がってしまいます。歯の中に薬を入れる根管充填は感染対策がとても重要なのです。

5−3.根管充填をしても治らない歯は歯根端切除術を行う

根管充填をしても歯根嚢胞や歯茎からの膿が止まらない場合は歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)を行います。歯の根の先は複雑なので全ての根の治療が成功するわけではありません。そのため治らない場合には外科的に根の先を切断する歯根端切除術を行い、根の先の膿を取り除きます。詳しくは「歯根嚢胞の手術の流れと痛み、腫れ、処置後の注意について」を参考にしてください。

まとめ

欧米では根管治療や根管充填は根管治療専門医が行います。また、費用も20万円〜30万円程度かかります。何故なら根管治療によって歯を残せなければ抜歯になり、インプラント治療になるからです。そのため、根管治療や根管充填はインプラントと同じくらいの費用がかかるのです。日本では保険診療内で根管充填を行うと数千円となります。近年は日本でも多くの根管治療専門医や自費診療にて根管治療を行っている歯医者が増えています。歯を失ってインプラント治療を考える前に歯を残すための治療が重要なのです。

おかざき歯科クリニックの根管治療の流れ

根管治療

おかざき歯科クリニックでは最大限抜歯を回避する治療理念のもと治療を進めていきます。


根の治療の正確さによって歯の寿命が大きく変わってしまいます。


おかざき歯科クリニックでは、正確な診断と超精密治療により根の中の汚れをきれいにし、治療を進めて行きます。



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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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