うちの子大丈夫!子供の歯並びが悪くなる7つの癖と8つの異常

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

お子さんの指しゃぶりや口呼吸などの癖で歯並びが悪くなってしまうのかと心配な方も多いと思います。多くのお子さんは年齢とともに癖も治ってきます。しかし、癖が長い間続いてしまうと顎の形も変わり、歯並びが悪くなってしまうのです。それだけ、強い力が長い時間かかる癖は悪いことなのです。また、過剰歯や小帯などのお口の中の異常も歯並びを悪くする原因になります。今回は子供の歯並びが悪くなる癖や異常、その改善方法をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。

1.実は歯並びはお口の周りの筋肉によって決まる

実は子供の歯並びは舌とお口の周りの筋肉によって大きな影響を受けます。歯は舌とお口の周りの筋肉に押され、その中央に位置するように並びます。癖や異常な力が歯にかかり続けると、その力に押され顎の形が変わり、歯並びが悪くなるのです。正しい呼吸法や飲み込み方、悪い癖を治すことは、お口の正常な機能を回復することです。それによって歯並びもきれいに整うのです。

2.子供の歯並びが悪くなる7つの癖

2-1.指しゃぶりで出っ歯になる

指しゃぶりを長く続けていると出っ歯や開咬(かいこう)になります。3歳くらいまでの指しゃぶりは子供にとって正常な行為ですが、5歳を過ぎても指しゃぶりが残っていると歯並びが悪くなります。指しゃぶりの指で前歯が押され、出っ歯や開咬になったり、吸うときの頬の力によって上顎が狭くなり奥歯の噛み合わせがずれてしまいます。詳しくは「指しゃぶりが子供の歯並びやお口の機能に与える7つの影響と対応策」を参考にしてください。

開咬とは奥歯で噛んだ時に前歯が噛み合わないことをいいます。

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2-2.口呼吸で出っ歯になる

口呼吸があると出っ歯や凸凹になります。鼻の空洞と上顎は繋がっており、鼻呼吸をすることによって鼻の空洞は広がり、上顎もよく成長し歯並びがきれいになります。しかし、口呼吸の方は口で呼吸するため、上顎が成長できず狭くなります。また、舌は上顎を押し広げるように位置していますが、口呼吸の方は空気の通り道を確保するため、舌の位置が下がってしまい、上顎を広げることが出来なくなり、出っ歯や凸凹の歯並びになってしまいます。詳しくは「口呼吸によって起こる9つの危険と6つの改善方法」を参考にしてください。

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2-3.下唇を噛む癖で出っ歯になる

下唇を噛む癖があると出っ歯や下の歯並びが凸凹になります。下唇を噛むと下の歯は内側に倒され、隙間が狭くなり凸凹になります。上の歯は外側に押され出っ歯になったり、すきっ歯になりします。また、物を飲み込むときに下顎に梅干しのようなしわができる方は無意識のうちに下唇に力が入り、下の前歯を唇で押してしまい、下の前歯が凸凹になります。

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2-4.舌を出す癖で開咬になる

物を飲み込むときに舌が歯と歯の間に入り込む方は開咬になります。舌は物を飲み込む時、上顎に張り付きながら食べ物を喉に運びます。物を飲み込むときに舌を出す癖のある方は、歯と歯の間に舌を入れ、前歯を押してしまいます。そのため、奥歯は噛んでいても前歯が噛まない開咬になります。

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2-5.物を噛む癖があると前歯がずれる

シーツや爪などを噛む癖がある方は前歯がずれます。シーツなどを常に噛んでいると、前歯が前に引っ張られる力が加わり、前歯の一本だけが飛び出た様な歯並びになります。

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2-6.硬いものを噛まないと凸凹になる

顎や歯を使って硬いものを噛まないと凸凹になります。骨は骨についている筋肉が使われることによって刺激を受け、太くなっていきます。軟らかいものばかり食べていると、筋肉が使われず、顎が大きくならないために歯が凸凹になります。

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2-7.頬杖を付いていると噛み合わせが悪くなる

頬杖を付いていると奥歯の噛み合わせが悪くなります。頭は体の中でとても重い部分です。頬杖をついていると重い頭を、一か所の顎で支え続けるので奥歯の歯並びが歪んでしまいます。

3.子供の歯並びが悪くなる8つの異常

3-1.上唇小帯が太いとすきっ歯になる

上唇小帯(じょうしんしょうたい)とは、上唇と歯茎をつなぎ、上の前歯の中央部にある「すじ」のことです。唇小帯が上の真ん中の歯と歯の間に入り込んでいると、すき間ができてしまいます。いわゆるすきっ歯の状態になります。7,8歳くらいで歯並びに影響が出るようなときは切除する場合があります。詳しくは「上唇小帯はいつ切る?永久歯の歯並びによって決まる」を参考にしてください。

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3-2.舌小帯が短いと受け口になる

舌小帯(ぜつしょうたい)とは、舌の裏と下の前歯の後ろをつないでいる「すじ」のことです。舌は上顎に着いて押し広げる役割がありますが、舌小帯が短い上顎を広げることができず、上顎が狭くなってしまいます。また、舌小帯が短いために下の前歯を押してしまい、下顎は成長しやすくなります。そのため受け口になってしまいます。トレーニングによって伸ばす方法と切除する方法があります。詳しくは「舌小帯が短いと受け口になる/切らずに伸ばす方法」を参考にしてください。

3-3.過剰歯があると前歯が出てこない

過剰歯(かじょうし)とは正常な歯の数より多くある歯のことで、永久歯の上顎の前歯の真ん中ある上顎正中過剰歯(じょうがくせいちゅうかじょうし)が一番多くあります。過剰歯があると正常な永久歯が萌出できず、いつまでも前歯が出てこなかったり、ずれて出てきてしまいます。そのため過剰歯がある場合は永久歯が出ようとするタイミングで抜歯をします。詳しくは「過剰歯がお子さんに見つかった時は抜歯したほうがいい」を参考にしてください。

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過剰歯と永久歯への生え変わり変わりをわかりやすく動画にまとめましたので、こちらをご覧ください。

3-4.矮小歯があると歯に隙間ができる

矮小歯(わいしょうし)とは歯の大きさが極端に小さい歯のことです。矮小歯は上顎の前歯2本の横の歯の側切歯(そくせっし)によくあります。矮小歯があることによって歯と歯の間に隙間ができます。セラミックやプラスチックで歯を大きくして周りの歯の大きさに合わせるようにします。詳しくは「歯が小さい人必見!!矮小歯(わいしょうし)に起こりうる悩みの4つの改善策」を参考にしてください。

3-5.癒合歯があると歯に凸凹ができる

癒合歯(ゆごうし)とは隣同士の歯と歯がくっついて1本の歯のようになってしまったもので、乳歯によくあります。永久歯交換の時に、乳歯が抜けなくて下から生えてくる永久歯がずれてしまうこともあります。下から生えてくる永久歯の位置を確認しながら抜歯する必要があります。詳しくは「ママ必見!!子供の癒合歯(ゆごうし)に起こる3つのリスクと対応策」を参考にしてください。

癒合歯と生え変わりへの影響をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらをご覧ください。

3-6.先天性欠如によって永久歯の歯が足りなくなる

歯の先天性欠如(せんてんけつじょ)とは生えて来るべき永久歯が無く、生えてこないことをいいます。永久歯が生えてこないことによって乳歯が抜けてしまった後に隙間があいてしまったり、前後の永久歯が倒れてきてしまいます。乳歯を保存するか、全体的矯正で永久歯をずらしていきます。詳しくは「あなたの歯の本数は足りている?/近年増えている歯の先天性欠如」を参考にしてください。

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3-7.永久歯の生え換わる時ずれてしまう

永久歯の生え変わりの時、乳歯の根が残ってしまうと永久歯の生えてくる位置がずれてしまいます。永久歯は生えてくるときに乳歯の根を溶かしながら生えてきます。その時、乳歯の根がうまく溶けないと永久歯は、それを避けて違う位置から生えてきます。詳しくは「乳歯の生え変わりの時、歯並びを悪くしないための対処法」を参考にしてください。

3-8.乳歯が虫歯になると永久歯の出てくる隙間がなくなる

乳歯が虫歯になり神経の処置をしてしまうと、永久歯交換の時にうまく乳歯の根が溶けなかったり、乳歯が早くに抜けてしまいます。乳歯が早くに抜けてしまった場合は永久歯が生えてくるまで、その隙間を確保しておかないと永久歯が出てくる隙間が無くなってしまいます。詳しくは「乳歯の虫歯について母親が知っておかなければいけない6つこと」を参考にしてください。

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4.悪い習慣を治す矯正治療

4-1.お口の周りの筋肉をトレーニングする方法

正しい飲み込み方やお口の周りの筋肉の使い方のトレーニング方法を口腔筋機能療法(こうくうきんきのうりょうほう)といいます。子供の歯並びは歯並びを悪くする原因を取り除くだけで改善されることがあります。また、時間をかけて歯列矯正できれいな歯並びになっても、癖や筋肉の使い方が悪いと歯並びが元に戻ってしまいます。口腔筋機能療法は見た目だけでなく原因を治療する方法です。

4-2.お口の周りの力を排除するマウスピース矯正

マウスピース矯正は歯並びに影響を与える筋肉をトレーニングで改善しながら、余分な力が歯に加わらないようにマウスピースで排除する治療法です。マウスピースを装着することにより、正しい呼吸法、正しい舌の位置、正しい唇の閉じ方などを覚えることができます。これによって歯並びが改善してきます。

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4-3.狭い顎を広げる装置

顎が極端に狭くなっている場合はトレーニングやマウスピースだけでは正常な状態に戻らないため顎を広げる装置を使います。顎を広げることによって鼻の空洞が拡がり、鼻呼吸がしやすくなり、舌が正しい位置に持っていけます。それによって歯並びがきれいになります。

図2

5.機能矯正だけでは治らない場合はブラケット

癖や異常を治しても歯並びが治らない場合もあります。顎と歯の大きさが極端に悪い時は、ブラケットという矯正装置を歯の表面に付けて歯並びを治していきます。顎と歯のバランスによっては抜歯をした矯正をすることもあります。しかし、お口の中の癖や異常を先に治しておくことでブラケットを付けている期間が短くなり、治療後の後戻りも防ぐことができます。

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おかざき歯科クリニックの基本情報

ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
                     土          9:00~13:00 14:00~18:00 
     木・日・祝日:休診日

院長経歴

岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任

 まとめ

癖を大人になってから治すことはとても難しいものです。小さいうちに正しい呼吸、飲み込み、発音などをトレーニングしておくことは歯並びにとっても健康にとっても重要なことです。お子さんの口の動きやお口の中を見てみてください。何か心配なことがあればかかりつけの歯医者で相談してください。

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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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