前歯をケガから守るスポーツマウスピースの5つの効果と値段

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

スポーツをしていて相手の肘やボールが顔に当たったりしてケガをしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、ケガの治療で歯科口腔外科に受診する方で多いのは交通事故、転倒に次いで3番目にスポーツによるケガが多いのです。特に前歯は欠けたり、折れたり、抜けたりすることもあり、その後の見た目や場合によっては高額な費用がかかることもあるのです。そのためスポーツ用のマウスピースを使って、ケガを予防することが重要になってきているのです。今回はスポーツマウスピースの値段と効果と作り方についてお伝えします。

1.スポーツマウスピースの5つの効果

1−1.前歯の破折などを防止する

最近ではマウスピースを義務化しているスポーツもありますが、まだまだ多くはありません。スポーツの器具や相手との接触、ボールなど口元に当たると歯が割れたり、折れたり、場合によっては抜けてしまうことがあります。このようになった場合には歯の神経が死んでしまったり、歯を抜歯しなければいけないこともあります。スポーツマウスピースはこのような危険から歯を守ってくれます。

下記の写真は上の前歯が2本割れてしまい、下の前歯が根元から折れてしまった状態です。

下記のレントゲン写真は前歯が1本抜けてしまった部分にインプラント治療を行っています。隣の歯は歯が脱臼し、歯の神経が死んでしまったので、歯の根の治療をした後、セラミック治療を行っています。

矯正治療中は特に前歯の脱臼に注意が必要

中学生や高校生くらいになると部活をしながら、矯正治療を行う方が多い時期です。矯正治療は歯を動かすために歯に揺さぶりをかけています。そのため前歯に弱い力でも加わると歯が脱臼してしまうことがあり、脱臼によって歯の神経が死んでしまうこともあります。矯正器具をつけながら使えるスポーツマウスピースもあります。矯正歯科やスポーツマウスピースを扱っている歯医者で相談してみてください。

1−2.歯による口の周りのケガの防止

スポーツで急激な力が顎などに加わると歯は凶器となるのです。食事などで間違って舌や頬を噛んでも、反射があるので大きなケガになることはあまりありません。しかし、スポーツなどで強い力が急にかかると歯によって舌を切ってしまったり、頬に穴があいてしまったりすることもあるのです。スポーツマウスピースは歯が凶器にならないように口の周りを守ってくれます。

1−3.奥歯が欠けるのを防ぐ

「下から顎を突き上げられる」スポーツの時、相手の肘や頭が顎にぶつかることはよくあります。それによって奥歯同士が強く当たり、欠けてしまうことがあります。奥歯の場合、前歯のように大きく欠けることは少ないのですが、小さく欠けることが繰り返され、最終的に歯の表面がザラザラになってしまうことがあります。スポーツマウスピースの使用で奥歯が欠けることを防ぐことができます。

1−4.脳しんとうの予防

上記のような下から顎を突き上げられると、力が歯や顎の関節に伝わり、頭に振動が及びます。軟らかいスポーツマウスピースがクッションとなり骨や歯から直接、頭にかかる振動を和らげます。ただし、脳しんとうに関してはスポーツマウスピースの使用により効果があるかどうかは統計的にまだ立証はされていないようです。

1−5.食いしばりによる歯や歯茎へのダメージを軽減する

歯と歯が接触するのは1日の中で食事の時に15分程度と言われています。その他の時間は通常、少し歯と歯の間が開いています。しかし、スポーツの時に歯をくいしばる方は食事の時より強い力で、長時間、歯と歯が接触するので、歯や歯茎にダメージがあります。食いしばりによって歯の神経が出るまですり減ってしまったり、歯が揺れてきたり、歯が欠けてしまったりします。そのためスポーツマウスピースで歯や歯茎へのダメージを軽減させる必要があります。

2.スポーツマウスピースの種類と値段と作り方

2−1.歯医者で作るカスタムマウスピース

スポーツマウスピースを扱っている歯医者で型を取り、マウスピースを作る方法です。自分の歯型にあったマウスピースを作ることができます。スポーツマウスピースは歯並びに合っていないと歯や歯茎に痛みや違和感が強くなり、使いこなせないことがあります。歯医者で自分の歯型に合った精密なスポーツマウスピースを作り、痛みがあれば調整をして、大切な歯を守ることをお勧めします。値段は1万5千円〜5万円程度です。

おかざき歯科クリニックでスポーツマウスピース作成費用は3万円からとなります。

2−2.自分の歯型を自分で採って送るマウスピース

通販サイトで型取りキットを取り寄せて自分で歯型を取り、サイトに送ってスポーツマウスピースを作ってもらう方法です。初めての方が精密な歯型を自分で取ることはなかなか大変だと思いますが、ある程度は自分の歯並びにあったスポーツマウスピースができるのではないでしょうか。値段は1万円〜3万円程度です。

2−3.通販の熱で温め形を整える既成のマウスピース

アマゾンなどのネット通販で販売しているもので、プラスチックのマウスピースを熱で温め、自分の口に入れて合わせるものです。既成のマウスピースに自分の歯並びがある程度合っている人であればできるかもしれませんが、歯を守るためのスポーツマウスピースとしてはお勧めできない品物です。値段は500円程度です。

3.スポーツマウスピース使用時の注意点

3−1.唾液の流れが悪くなり虫歯になりやすい

スポーツは頻繁にスポーツ飲料を飲み、口呼吸のために口が渇きやすく、虫歯になりやすい状態です。さらにスポーツマウスピースを使うと唾液の流れが悪くなり、虫歯のリスクは高まります。そのためスポーツマウスピースを使った後は歯磨きやデンタルフロス、フッ素の使用などで虫歯予防を行う必要があります。

3−3.カビに注意!不潔になりやすい

口の中は細菌が多い場所です。スポーツマウスピースを使用した後は、柔らかいブラシで磨き、入れ歯用洗浄剤で殺菌しておく必要があります。不潔な状態が続くとカンジダ菌というカビが生え、口の中にも影響が出たり、口臭の原因にもなります。

3−4.合わないものは歯茎下がりの原因

合わないスポーツマウスピースを使うと歯茎下がりが起こることがあります。歯茎はスポーツマウスピースよりも弱い組織です。合わないスポーツマウスピースの縁がいつも同じ歯茎の部分に当たると、歯茎に炎症が起こり、歯茎下がりが起こってしまいます。場合によっては歯がしみてしまうこともあります。そのため、歯医者で自分にあったスポーツマウスピースを作り、定期的に歯や歯茎の状態を確認してもらう必要があります。

3−5.熱いお湯での消毒は変形する恐れ

スポーツマウスピースはシリコン樹脂で作られています。熱いお湯をかけたりすると変形して、歯に合わなくなる恐れがあります。また、大きな温度変化は劣化の原因にもなりますので、洗浄するときはお湯ではなく、ぬるま湯か水を使うようにしてください。

4.マウスピースによって運動効果は向上するのか

スポーツマウスピースによって運動効果が向上するのかどうかはまだはっきりとした証明はありません。運動効果が期待できるようなマウスピースの使用を禁じているスポーツもあるようです。しかし、歯並びの噛み合わせはいいほうが運動効果がいいようです。スポーツマウスピースはあくまでもケガを防ぐためのものと認識してください。

5.スポーツマウスピースと歯ぎしり用マウスピースの違い

スポーツマウスピースは歯を保護するため厚みが3〜5mmで柔らかい素材でできています。歯ぎしり用マウスピースは夜寝ている時に使うもので厚みは1〜2mmで固めの素材でできています。元々の目的が全然違うために歯ぎしり用マウスピースでスポーツマウスピーとして使っても意味がありません。そのためスポーツの時は専用のマウスピースを使う必要があります。

まとめ

前歯のケガは見た目にも重要ですし、費用も高価になります。もちろん保険で補われる部分もありますが、人工物は一生使えるものではありません。今後、スポーツマウスピースは多くのスポーツで義務化されてくるものです。ぜひ、前歯を失う前にスポーツマウスピースを使い、大切な前歯を守ってあげてください。

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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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