何か月も根の治療をしているがなかなか治らない、この治療はいつまで続くのだろうと不安になる方も多いのではないでしょうか。根の先に溜まってしまった膿は、根の治療だけでは治らない場合もあるのです。そのような時に行うのが歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)という治療法です。歯根端切除術は歯茎の方から膿の袋を取る方法です。今回は歯根端切除術を行ったほうがいい場合と、治療方法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。
1.歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)とは
根の先に溜まった膿の袋を歯茎の方から切開を入れて取り除き、感染した根の先の一部を切断する方法です。通常、根の先の膿の袋は根の中の消毒をすることによって改善していきます。しかし、根の治療だけでは膿が完全に取りきれない場合に、歯根端切除術を行い外科的に膿の袋を取り除きます。
2.歯根端切除術を行ったほうがいい場合
2-1.歯の根の治療をしても改善が見込めない場合
歯の根の先に膿が溜まったいる場合は、まず根の中を消毒する根管治療(こんかんちりょう)を行います。何度か根管治療を行っても、歯の根の中から膿が止まらなかったり、歯茎の腫れが引かない場合は歯根端切除術を行います。詳しくは「歯の寿命はこれで決まる!歯の根の治療の根幹治療と全情報を大公開」を参考にしてください。
2-2.歯の根の形態が複雑な場合
歯の根の先に膿が溜まっているが、根の形態が複雑で根の先まで機材が届かない場合があります。この場合、根の治療では細菌をすべて取り除くことは出来ないため歯根端切除術を行います。
2-3.根の中にある土台を取ると歯が割れてしまう可能性がある場合
神経のない歯は、歯が割れないように金属の土台が入っていることがあります。この土台は根の治療をするときに削り取らなくてはなりません。しかし、土台が太く、長く入っていると削り取る際に歯が割れてしまう危険があります。そのため根の治療をせずに、歯根端切除術を行います。
2-4.歯にひびが入っている場合
根の治療を何度も行うと根の先の部分にひびが入ってしまうことがあります。ひびの隙間に細菌が感染すると歯茎が腫れたり、膿の袋が出来たりします。歯茎を切開しひびの部分をセメントで埋めて、歯根端切除術を行います。詳しくは「歯が割れた!歯根破折の原因と治療法」を参考にしてください。
2-5.歯に穴が開いている場合
金属の土台が入っていると歯との硬さが違うため、歯に穴が開いてしまうことがあります。穴の開いている部分から細菌が感染し、歯茎が腫れてしまいます。歯茎を切開し、穴が開いている部分をセメントで埋めて、歯根端切除術をすると腫れが改善します。
3.歯根端切除術の方法
歯根端切除術の治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
3-1.根の治療
根の治療を行います。出来るだけ根の治療で改善できるように治療を行います。根の中がきれいになった状態で薬を詰めて経過をみます。膿の袋が小さくなる傾向があればそのまま被せものをしていきます。ただし、被せものをした後に再び、膿の袋が大きくなることもあります。その場合は被せものをそのままに歯根端切除術を行うことが可能です。詳しくは「根管治療の専門医が行っている最新治療法と一般歯科との治療の違い」を参考にしてください。
根管治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。
3-2.CTレントゲン撮影
CTレントゲンを撮影し、3次元的にどの根の、どの部分が原因なのか確認します。極力傷口が小さくて済むように部位を特定します。
3-3.根の先の袋を取り出す
歯茎に麻酔をして、膿の袋を取り出します。拡大鏡を使い、細菌や膿の袋が残らないようにきれいに取り除いていきます。また、汚れが多く残っている部分はピエゾサージェリーで超音波振動を加えながら、洗浄します。
3-4.根の先端を切断し、セメントで埋める
感染源となっている根の先端を切断します。切断した歯の面には歯が再生しやすいセメント(MTAセメント)を詰めます。膿の袋によって根の先端の骨が大きくなくなっている場合は骨を再生させる膜を置きます。その後歯茎を元の位置に戻し縫合します。翌日に傷口に消毒と問題が無ければ7~10日後に糸を抜きます。
3-5.骨ができるのを待つ
溶けてしまった骨が完全に戻るのは6か月近くかかります。ただし症状が無ければそのまま経過観察となります。
治療前のの先が黒くなっています。
治療後根の先の黒い部分が小さくなてきています。
4.処置後の注意事項
- 麻酔がきれるまでは食事を控える
- 食事は傷口に当たらないように行う
- 歯磨きは歯の周りのみで傷口の歯茎には当たらないようにする
- 傷口の周囲を押したり触ったりしない
- 抗生物質はなくなるまでのみ、痛み止めは痛いときにのむ
- 腫れが気になる場合は頬側から冷やす
5.再植による歯根端切除術
下の歯の奥歯など骨が厚く、頬側から歯根端切除術が行えない場合があります。その場合は歯を一度抜歯し、お口の外で歯根端切除術を行い、再度戻す再植法を同時に行います。再植法は歯の根が大きく曲がっていたりすると、抜歯の際、根が折れてしまうことがあるのでできない場合もあります。
おすすめクリニック
おかざき歯科クリニックの基本情報
ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
土 9:00~13:00 14:00~18:00
木・日・祝日:休診日
院長経歴
岡崎 弘典
日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任
まとめ
神経を失ってしまうと歯の寿命は半減すると言われています。もちろんすべての歯がそうなるわけではありませんが、寿命は確実に短くなります。根の治療も歯科医の技術に大きく左右され、再治療も多く行われます。最終的には歯根端切除術や部分的な歯の抜歯、全部抜歯と治療をすればするほど歯の寿命は短くなります。自分の歯で将来過ごしたいと考えるのであれば、歯を削らないための予防歯科をやっていくことが必要です。