絶対歯周病にならない13の法則/原因と対処法

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

歯周病にはなりたくないと思っていてもその対策をしている方は少ないのではないでしょうか。歯周病は歯を支えている骨を溶かしてしまう怖い病気です。症状がなければ気にしませんよね。実は30歳を過ぎた成人の80%は歯周病にかかっているのです。しかし、歯科に勤務している歯科関係者には歯周病の方がほとんどいないのです。これは歯周病にならない法則を知っているからなのです。今回は歯周病にならないための法則と対処法をお伝えします。皆さんも将来自分の歯でおいしい食事を取るためにぜひ試してください。

1.歯周病とは

歯周病は歯を支えている周りの骨が溶けていく病気です。歯茎が腫れたり、歯が揺れたりして、最後は周りの骨が歯を支えられなくなり抜けてしまう病気です。歯を失う最も多い原因が歯周病です。歯周病は歯周病菌と体の抵抗力のバランスが崩れた時に進行してしまいます。年齢とともに体の抵抗力は落ち、歯周病になりやすくなりますが、適切な対応を取ることで、歯周病の進行は止めることができます。

2.歯周病にならない13の法則と対処法

2-1.絶対欠かせないデンタルフロス

DSC_0765.jpgフロス (1)歯周病は歯と歯の間の歯茎から進行します。年齢とともに歯茎は下がり、歯と歯の間には隙間ができて汚れが多く残りやすくなります。24時間でプラーク、48時間で歯石になり、歯周病を進行させてしまいます。

対処法

デンタルフロスの習慣を早めにつけることです。欧米ではデンタルフロスの普及率は相当高いものです。そのため歯周病になっている人も少ないのです。詳しくは「歯医者は絶対やっている!デンタルフロスで虫歯や歯周病を防ぐ方法」を参考にしてください。

2-2.年に3回は歯石を取りに行く

歯石は歯周病菌の住みかとなり、歯周病を悪化させる原因です。しかし、歯石は自分では取ることができず、そのままにすれば歯茎の中まで溜まり、周りの骨を溶かしていきます。

対処法

年に3回程度定期的に歯医者で歯石を取るようにします。歯医者では歯石を取るだけではなく、歯磨きやデンタルフロスでの磨き残しの部分を教えてくれますので、お口の中のアドバイザーとしてうまく利用してください。詳しくは「絶対歯石を取ったほうがいい本当の理由」を参考にしてください。

2-3.虫歯予防をして歯の被せものを多くしない

虫歯で歯に被せものが多いと、歯と被せものの隙間にプラークが溜まりやすくなり、歯周病が悪化してしまいます。また、神経がなくなってしまった歯も歯周病の進行が速くなってしまいます。

対処法

フッ素を効果的に使い、虫歯予防をしていきます。またどうしても治療をしなくてはいけない場合は、劣化がなく、汚れのつきにくいセラミックで治療をするようにします。詳しくは「これで完璧!今日から家で始められる虫歯予防の全手法」、「セラミックの歯/彼らが銀歯にしない6つの理由」を参考にしてください。

2-4.歯ぎしりがある方はマウスピースで守る

shutterstock_93841177歯に大きな力がかかる歯ぎしりをそのままにすると、歯を支えている歯の周りの骨が溶けてしまい歯周病が進行してしまいます。歯ぎしりは食事をするときに歯や歯茎にかかる力の何十倍もの力が加わる為、歯周病を悪化させてしまいます。

対処法

日中意識のある時は食いしばらないように注意をします。寝ているときには無意識のために強い力が加わりすぎてしまうので、マウスピースで歯や歯茎を守ります。詳しくは「歯ぎしりによって起こる怖い出来事/マウスピースがあなたの歯を守ってくれる」を参考にしてください。

2-5.ブリッジや入れ歯は残っている歯に負担がかかる

歯を失ってしまった場合、前後の歯を削って被せるブリッジや、前後の歯にフックをかけて取り外しを行う部分入れ歯をする場合があります。この治療は残っている歯に負担を多くかけるために歯周病が進行しやすくなります。

対処法

残っている歯の負担を軽くする治療はインプラント治療です。インプラントは歯を失ってしまった部分に人工の根を入れ、冠をかぶせます。周りの歯に負担をかけずに、軽減するため歯周病の悪化を防ぐことができます。詳しくは「初めてのインプラント治療ガイド」を参考にしてください。

2-6親知らずは早めに抜いておく

親知らずは斜めや、横向きになっていることが多く、親知らずの前の歯に食い込むように生えてきます。親知らずと食い込まれた歯の間には常に細菌が溜まり、骨が溶けてしまい、部分的に歯周病が悪化してしまいます。

対処法

親知らずの前の歯が健康であれば、親知らずを抜歯します。しかし、歯周病が進んでから抜歯しても骨が回復しないので、できるだけ20歳前後で抜歯をすることで、骨の回復や痛みを減らすことができます。詳しくは「親知らず抜歯のすべて/抜歯の決断から治療終了までのステップを全て公開」を参考にしてください。

2-7.口呼吸は唾液の殺菌作用が働かない

お口の中は細菌が多い場所ですが、常に唾液によって殺菌されています。しかし、口呼吸の方はお口の中が乾燥しやすく、唾液によって汚れが洗い流されないために、歯周病が進行しやすくなります。

対処法

口呼吸を鼻呼吸にしていく必要があります。鼻呼吸トレーニングを行い、お口をいつも閉じるように心がけます。詳しくは「口呼吸によって起こる9つの危険と6つの改善方法」を参考にしてください。

2-8.歯並びが悪いと歯周病は進行する

mera_20120317174642歯並びが悪いと噛んでいる歯に負担が多くかかり、歯周病が悪化しやすくなります。若いときは見た目以外大きな影響がありませんが、年齢とともに負担が蓄積され強く当たっている部分に負担が過剰になり歯が揺れてくることが多くなります。

対処法

10代から20代のうちに矯正治療をお勧めします。あまり年齢が経ってからの矯正治療は骨が固くなってしまい、歯を動かす時に骨に負担がかかってしまいます。

2-9.女性のホルモンは歯周病を悪化させる

女性のホルモンバランスの変化により妊娠、出産、閉経などのタイミングで急激に歯周病が悪化することがあります。女性ホルモンによって歯茎から出血が多くなり、歯の周りの骨も溶けやすくなっています。妊娠時は特に嘔吐反射があり、歯ブラシが奥まで届きにくくなり、より歯周病が進行してしまいます。

対処法

お口の中を常に清潔にしておく必要があります。出来る限り歯磨き、デンタルフロスを行い、体調がいいときには定期的に歯医者でクリーニングを行って、お口の中の環境を維持していくようにします。

2-10.血糖値のコントロールは歯周病を安定させる

糖尿病によって血糖値が上がると、体の抵抗力や歯茎の新陳代謝を下げてしまい歯周病が悪化しやすくなります。また、歯周病による慢性的な炎症が糖尿病を悪化させる原因ともされています。糖尿病と歯周病はともに改善していけば体も歯茎も健康を保つことができます。

対処法

糖尿病は内科等の診察を受けて血糖値をコントロールしてください。状態の悪い歯周病の歯を無理して残しておくことによって、慢性的な炎症が糖尿病に悪影響を及ぼします。あまりに状態の悪い歯は抜歯をしたほうがいいのです。

2-11.ストレスは体や歯周病にも悪影響

精神的ストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力の低下を起こすことがわかっています。免疫力の低下によって歯周病は悪化してしまいます。

対処法

現代社会に生きている中、ストレスなく生活することは困難です。そのストレスを上手に発散させることが免疫力を高めていきます。また、現在は免疫力を高めるサプリメントなども出ていますので使ってみてもいいかもしれません。

2-12.たばこは歯周病を5倍悪化させる

タバコを吸うと体の免疫細胞が歯茎の正常な細胞を壊してしまうことが分かっています。また、ニコチンによって毛細血管が収縮し、歯茎の血行が悪くなり歯周病が悪化してしまいます。一日に吸うたばこの量が20本以上になると30歳以降に歯周病が吸わない人に比べ約5倍増加します。

対処法

現在は禁煙外来など病院で禁煙をサポートしてくれるところが多くなっています。

 2-13.両親が歯周病で歯を失っていると本人も歯周病になりやすい

歯周病の全てが遺伝によって起こるわけではありませんが、一部の歯周病は遺伝が原因と解明されています。

対処法

親が重度の歯周病で歯を失っている場合は注意が必要です。歯周病にならないように予防で対処していきます。

 3.歯周病菌が骨を溶かすメカニズム

  • 食事の後、24時間でプラーク(細菌の塊)になる
  • プラークは48時間で唾液と結合し歯石となり、そこを住みかとする
  • プラークは歯茎の中に入り込み歯周ポケットを作り、毒素を出す
  • 毒素に対して体は免疫細胞を集めて抵抗する
  • 毒素が多いと免疫細胞は骨に感染しないように骨を溶かして毒素から遠ざける
  • 徐々に周りの骨が溶かされて歯が揺れ抜けてします

まとめ

歯周病は日本人の約80%が罹患していると言われています。また、現在歯を喪失する原因の約半数を占めるとも言われています。歯周病の治療は、毎日の正しい歯磨きで確実に歯垢を除去し、定期的に歯医者さんで検診を受けて予防する事が何よりも大切なのです。歯が揺れたり、歯茎からよく血が出る場合には早めに相談しましょう。

歯茎下がりは歯周病の始まり

歯周病治療

歯茎が下がると歯がしみやすくなります。あなたは大丈夫でしょうか?


これが歯周病の始まりなのです。


歯周病は虫歯と違って、重度になるまで痛みなどの自覚症状がないため、気付いたら歯が抜ける寸前だったということも少なくありません。歯を支える骨が溶けて、最悪歯を残すことが難しくなるケースもあります。


これから20年、30年、生涯にわたって自分の歯で過ごすためには、今が大切です。 ひどくなってしまう前に、いちど検診を受けることをおすすめします。



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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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