溝状舌(こうじょうぜつ)とは/溝状舌の痛みの原因と対処法

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

鏡で自分の舌を見てみるとシワのような溝が多く驚かれたのではないでしょうか。このような舌の状態を溝状舌(こうじょうぜつ)と言います。溝状舌の多くは生まれ持った舌の形なので治療の必要はありません。しかし、溝状舌は溝の中に細菌が溜まりやすいため、口臭や炎症が普通の舌に比べて起こりやすいのです。特に溝状舌の方が唾液が減るドライマウスになると痛みやピリピリ感が強くなることが多いのです。今回は溝状舌の痛みに対する対処法についてお伝えします。

1.溝状舌とは

1−1.溝状舌とはどのような状態か

舌の表面に溝のある状態で軽度のものから重度のものまであり、溝の数、深さ、方向は様々で、多くは左右対称にあります。軽度の場合のほとんどは溝状舌とは気づかない場合も多いです。

溝の状態による分類

1度:舌の正中に縦に深い溝のあるもの
2度:正中の深い溝に並行する別の溝があるもの
3度:舌の横の部分まで溝のあるもの
4度:網状に舌全体に溝のあるもの

参考:布施貞夫:口腔粘膜疾患図譜1.末永書店,京都,1959

1−2.溝状舌の発生率

1986年に高橋らによる調査では15歳から21歳まで学生664名を調べたところ、溝状舌は17名で2.6%の人に発見されました。また、そのうち7名は地図状舌も発見されています。地図状舌は乳児と若い女性に多いが、溝状舌は中学生から出始め、65歳以上に多くなります。男女比は約1:0.6で男性の方が多いです。地図状舌と溝状舌の発生する年齢は逆の傾向があります。

参考:高橋紀子,島田義弘:定期歯科検診で検出された某高専校学生における舌疾患の有病状況,東北大学歯学雑誌8:19-27,1989

地図状舌とは

舌の表面にあるザラザラした細胞(糸状乳頭:しじょうにゅうとう)が剥がれ落ち、地図のように見える舌の状態です。原因は不明ですが、ストレスが原因の1つであると言われています。痛みはほとんどなく、まれに軽い痛みが出ることがあります。治療の必要はなく、自然に治ってしまうことが多いです。また、成人より、子供に多く、成人では女性に多いです。

1−3.溝状舌の原因は

溝状舌の原因は先天的な異常と慢性炎症などによって起こるものがあります。先天的な異常には遺伝によって家族内に発生するものや、ダウン症候群の方にできる場合があります。また、後天的には慢性炎症、外傷、ビタミン欠乏などが原因となることがあります。

メルカーソン・ローゼンタール症候群とは

顔の表面の神経が麻痺してしまう顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)や、唇や顔が腫れてしまう顔面 ・口唇の肉芽腫性腫脹(にくげしゅせいしゅちょう)を繰り返し、溝状舌などの舌の形の異常の3つの症状が起こる病気をメルカーソン・ローゼンタール症候群(Melkersson-Rosenthal syndrome)と言います。原因は不明で10代に病気が起りやすく、男女差はありません。

1−4.溝状舌の症状

溝状舌は通常、自覚症状がなく、自分で鏡を見て溝があることに気づきます。多くは先天的な形成異常なので、治療の必要がありません。しかし、深い溝に食べかすが入り込むことによって、不潔になりやすく、細菌による口臭や、慢性刺激によって炎症を起こしヒリヒリと痛むこともあります。また、軽度の味覚障害を伴うことがあります。

1−5.溝状舌のお手入れの仕方

溝状舌の治療法は今の所ありません。歯医者や、口腔外科、耳鼻咽喉科に行っても通常は舌を清潔に保ち、経過観察で終わります。また、痛みなどがある場合には消炎剤が入ったうがい薬のアズレンスルホン酸ナトリウム(市販薬だとパブロンうがい薬AZなど)を使用します。また、溝に細菌がたまらないように舌ブラシや柔らかい歯ブラシなどで溝の中を清潔にしておくことは有効です。

2、唾液が減り溝状舌の痛みが強くなってきた時の対処法

唾液が減るドライマウスになると溝状舌の症状が強くなる場合があります。唾液は口の中で潤滑作用や殺菌作用のあるものです。通常の舌の方でも唾液が減ると舌に痛みが出ることがあります。溝状舌の方はより症状が強くなることがあります。

2−1.マウスピース、閉口テープ、マスクなどで夜間の乾燥を防ぐ

夜間のドライマウスを防ぐためにマウスピースや閉口テープ(通販等で購入可能)、マスク(少し湿らす)を使います。応急的な処置ですが、徐々に口呼吸から鼻呼吸に変えることによってドライマウスが改善します。

2−2.カフェイン、アルコール、ニコチンを減らす

カフェインやアルコール、ニコチンは利尿作用があり、体の脱水状態になり、ドライマウスを引き起こします。取りすぎには注意が必要です。

2−3.水分を多く取る

成人の場合1日2〜2.5Lの水分補給が必要です。ダイエットなどで水分や食物の制限を行うとドライマウスになることがあります。適度な栄養を摂ることが重要です。

2−4.よく噛む

よく噛むことで唾液腺が刺激されドライマウスが改善します。特に入れ歯や噛む部分が少ない方は唾液が少なくなり、ドライマウスになりやすいです。年齢に応じた噛む機能の改善が必要です。

2−5.唾液腺マッサージ

積極的に唾液腺をマッサージすることによってドライマウスを改善します。大きな唾液腺が耳の前や顎の内側にあります。そこをマッサージすることによって、唾液腺が刺激され、唾液が多く出ます。

2−5.薬の変更や量を減らす

薬の副作用によってドライマウスが引き起こされている場合は、薬の変更や量を減らすことによって改善します。ただし、全身的な病気のために薬が必要な場合も多く、主治医とよく相談する必要があります。

2−6.糖尿病や腎臓病など内科的な治療を行う

甲状腺機能亢進症、糖尿病、腎臓病、肝硬変などによってドライマウスが起こることがあります。このような病気の治療を行ったり、コントロールされることによってドライマウスが改善されることがあります。

2−7.シェーグレン症候群や膠原病などは対症療法

このような自己免疫疾患の場合は原因が解明されていないために、根本的な治療は難しくなります。そのため人口唾液等を使って症状を抑えていく必要があります。

2−8.人口唾液の使用

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通販等でも購入可能です。スプレータイプで使いやすく、おかざき歯科クリニックでもおすすめしています。

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3.どうしても歯に溝状舌が擦れて痛い方

3−1.マウスピースで歯を覆う

溝状舌が炎症で痛くなると歯に擦れるだけで我慢できない時もあります。この場合、歯を覆うマウスピースを使い、溝状舌が歯に当たらないようにします。炎症が落ち着いてくれば痛みも軽減するはずです。

3−2.尖った歯を丸める

歯ぎしりなどによって歯が尖ってしまうと、溝状舌が尖った歯に引っかかりいつも傷をつけてしまう場合があります。このような場合には歯医者で尖った歯を丸めてもらうことができます。あまり削りすぎると歯がしみてしまいますが、溝状舌の溝に引っかかるような歯は丸めることによって舌が滑らかに動きます。

3−3.口内炎の薬も有効

溝状舌に傷がついてしまっている場合などは口内炎の薬を使うと痛い部分を保護することができます。どうしても痛い部分にケナログやアフタッチなどを使うと一時的に痛みが軽減します。

まとめ

溝状舌を治したいと思う方もいると思いますが、残念ながら今の所治療法はありません。通常、溝状舌は問題がなければ治療の必要性がないものです。しかし、体調の変化や汚れが溜まると正常な舌よりも状態が悪くなりやすい舌ですので清潔に保つことが一番重要です。

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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

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