口臭治療/口臭外来で行われる9つの治療法と検査、注意点

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

 口臭が気になるがどこに相談したり、治療を受けに行ったりすればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。口臭は日本人の約10%が気になっている症状です。実は口臭を治療するには口臭外来という専門の科があるのです。口臭には多くの原因があり、原因が一つではない場合も多いのです。口臭外来では口臭の可能性のある原因を特定しながら治療を行っていきます。今回は口臭外来で行われている9つの治療法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。

1.口臭外来とは

口臭に悩みを持つ方に対して検査を行い、原因を特定し、治療を行う専門医院です。口臭治療は専門的な知識や機器が必要で、一般の歯医者では行っておりません。口の中の臭いを機器で測定し、機器の数値を見ながら改善しているかどうか確認していきます。薬や生活習慣、口の中の清掃方法、全身的な治療などを行い口臭を改善していきます。

2.口臭外来で行われる9つの口臭治療

 2−1.漢方薬による薬物療法

口臭治療で多く使われているのが漢方薬です。口臭は体のバランスによって発生する生理的口臭というものがあります。この生理とは緊張や疲労、ホルモンなどの変化が影響します。体調の変化を安定させて、体のバランスを整えるのが漢方薬です。また、口臭は唾液の量が減ることでも起こります。漢方薬には唾液の量を回復させる効果もあります。

2−2.マウスピースによる除菌療法

口臭の主な原因は口の中に存在する嫌気性菌(けんきせいきん)が発生させるガスです。この嫌気性菌を除菌するの方法が3DS(dental drug delivery system)です。専用のマウスピースの中に抗生物質や消毒剤を入れて、薬剤が唾液によって流されないようにし、嫌気性菌を除菌して、口臭を抑える方法です。詳しくは「歯周病を薬で治す最新3DS除菌療法と歯周病菌に効果のある薬」を参考にしてください。

shutterstock_193248827

2−3.唾液を多く出すマッサージ治療

口の中の細菌の多くは唾液によって洗い流され口臭を防ぎます。唾液は唾液腺という器官から出されています。そのため唾液腺をマッサージし、活性化させることによって多くの唾液を出して、口臭を抑えます。また、口の中の粘膜をマッサージすることによって、粘膜を刺激し、粘膜の中にある唾液腺から唾液を出し、口の中に潤いをもたせて口臭を防ぎます。

2−4.抗生物質による除菌治療

細菌が原因で起こる口臭には抗生物質を使うことがあります。副鼻腔炎や歯周病、親知らずなど細菌感染によって口臭がひどくなる場合には抗生物質を使って、細菌の増殖を抑え、口臭を防ぎます。ただし、抗生物質の治療は一時的に細菌量を抑えるだけになります。

2−5.歯周病や虫歯などの歯科治療

歯周病や虫歯、親知らずなどによって歯や歯茎から膿が出ていると口臭が強くなります。歯や歯茎の治療を行い、場合によっては歯の抜歯を行って口臭の原因を取り除き、口臭を防ぐ必要があります。詳しくは「あなたの周りは気づいてる!歯周病の口臭を早く改善する方法」を参考にしてください。

2−6.舌苔やプラークの除去方法

舌苔とは舌の表面についている細菌や食べカスです。この舌苔や、歯や歯茎についているプラークからも口臭が発生します。そのためこれらの細菌を毎日丁寧に落とすことが必要です。できるだけ効率的に、効果的に落とすことが必要です。しかし、やり過ぎてしまうと出血が多くなり、それが腐敗臭の原因となります。そのため適切な舌苔やプラークの除去方法を指導します。詳しくは「口臭の元!舌が白い舌苔(ぜったい)ができる9つの原因と取り方」を参考にしてください。

SHOFU DENTAL DIGITAL CAMERA

2−7.マウスウォッシュなどの洗口剤

口臭の原因菌を殺菌消毒するためのマウスウォッシュをお勧めします。マウスウォッシュは一時的に口臭を抑える効果があります。マウスウォッシュの成分によって口臭の原因菌の繁殖を抑えたり、爽快感などが得られます。詳しくは「マウスウォッシュで効果的に口臭を防ぐ5つのポイント」を参考にしてください。

2−8.サプリメントによる治療

バイオガイアというサプリメントは口の中の悪玉菌を善玉菌に変えていく効果があります。バイオガイアに含まれる善玉菌であるロイテリ菌が、口の中にいる悪玉菌と置き換わることによって、口の中の環境を変え、口臭を予防します。

2−9.内臓の病気は専門医へ依頼

糖尿病や肝臓、腎臓、腫瘍などがあると口臭が発生します。血液の検査を行い、内臓系の疾患が疑われる場合は専門医に紹介をいたします。

3.口臭外来で行われる精密検査

3−1.臭いを測る口臭測定検査

口臭は口の中で生息している嫌気性細菌が、唾液、血液、古くなった細胞に含まれるタンパク質などを分解し、臭いの元である硫化水素、メチルメルカプタン及びジメチルサルファイドと呼ばれる揮発性硫黄化合物を産生することにより、口臭が生じます。この3つの揮発性硫黄化合物をオーラルクロマなどの口臭測定器で測定します。3つの割合によって口臭の原因分析しながら治療を行っていきます。

3−2.唾液の量を測る唾液測定検査

唾液は口臭を抑えるのにとても重要な働きをします。唾液の量を測定することによって口臭の原因を探ります。特に唾液が少ないことをドライマウスと呼び、原因が唾液腺の異常やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患が原因の場合があります。

SHOFU DENTAL DIGITAL CAMERA

3−3.歯周病や虫歯の口腔内検査

口臭の原因である嫌気性菌は深い歯周ポケット内や歯の根の先の歯根嚢胞(しこんのうほう)の中など、空気の触れない場所に多く生息します。そのため歯周病や虫歯など口腔内検査をし、嫌気性菌が多くいる場所がないか確認します。

3−4.人の感覚で臭いを確認する官能検査

口臭は機器による検査だけでは判断ができない場合があります。そのため人が実際、臭いを嗅いで口臭として感じるかどうかの試験を官能検査と言います。官能検査は距離を測りながら口臭がどのくらいの距離までするのかなど計測します。

3−5.血液や尿検査

口臭外来では血液や尿検査を行い、病的な口臭がないか確認をします。検査結果によって専門医院と連携しながら口臭治療を行っていきます。

4.自臭症(病的口臭症)とは

通常誰しも多少の口臭はあります。汗をかけば汗臭いし、体臭だってゼロにはできません。正常な範囲内の生理的な口臭に悩んでしまう方を自臭症(じしゅうしょう)や病的口臭症と呼びます。精神的な部分もあるため精神科と連携しながら治療を行います。

5.口臭治療の注意点

*おかざき歯科クリニックでは専門機器がないため口臭治療は行っておりません。
*口臭外来によって治療法や検査方法は異なりますので、ご確認の上、治療を受けるようにしてください。
*口臭治療は多くの場合、保険外診療で行っております。費用や期間については診療を受ける口臭外来にご確認の上、治療を受けるようにしてください。

まとめ

 口臭は多くの原因があるため一つの治療法で解決できるものではありません。口臭外来では多くの検査と治療を組み合わせながら口臭を改善させていきます。一般の歯医者では治療を行う専門機材がないため、口臭でお悩みの方は是非一度、口臭外来にご相談してください。

歯のブログを書く私が、本当に信頼している歯医者はこちら

歯のブログの購読はFacebookが便利です

Twitter・RSSでも購読できます

【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

コメント

  1. 美佐子 より:

    会合、人前で話すまた稽古事を近距離で教えるなど多く
    その度に夫から「今日はひどい。かわいそうに」と言われます。
    原因が口腔ではないんじゃないかと考え始めております。
    岡崎先生のブログを読んで、前向きに検査をうけてみようと思いました。

    1. 歯のブログ より:

      そうですね。
      歯医者で歯周病や虫歯などの原因が見つからなければ、口腔以外の原因を調べて方がいいと思います。

コメントを残す

*