赤ちゃんが検診で上唇小帯が太いねとか、長いねとを言われると心配ですよね。上唇小帯とは前歯の中央にあるスジのことです。しかし、この上唇小帯は低年齢の時には太いのが当たり前なのです。徐々に細く短くなってくるものなのです。今回は上唇小帯が永久歯が生えてきても太いまま残っていると起こる影響やその治療法についてお伝えします。
1.上唇小帯とは
上唇小帯(じょうしんしょうたい)とは、上唇と歯茎をつなぎ、上の前歯の中央部にある「すじ」のことです。1歳半検診の時に太さを指摘されることが多いです。2歳くらいまでは上唇小帯の幅が広く、上の真ん中の歯と歯の間に入り込んでいることがよくあります。成長とともに歯茎の上の方に移動し、幅も狭くなっていきます。上の前歯が永久歯に生え替わってからも、歯と歯の間に小帯が入り込んでいて、歯並びに影響が出るようなときは切除する場合があります。
上唇小帯のくっつき方が周りに悪影響を及ぼすようなときに上唇小帯付着異常(じょうしんしょうたいふちゃくいじょう)と呼びます。
2.上唇小帯が太いことによって起こること
2-1.前歯に隙間ができる
永久歯の前歯の歯と歯の間に入り込んだ上唇小帯が、前歯に隙間を作ってしまいます。前歯がすきっ歯の状態になり歯並びを悪くします。全ての上唇小帯がそのようになるのではなく太く残っていても隙間を作らない場合もあります。
2-2.歯茎が腫れやすい
上唇小帯があることによって歯と歯茎の間に隙間ができ、細菌がたまります。歯茎が赤くなり、特に風邪をひいたり、熱を出した時など腫れることがあります。
2-3.歯磨きがしにくい
特に低年齢のお子さんは上唇小帯がやわらかいために、歯ブラシが当たると痛がって、仕上げ磨きを嫌がってしまいます。詳しくは「危険!赤ちゃんの歯磨きで絶対してはいけない2の事と正しい歯磨き法」を参考にしてください。
3.切除するかしないかの判断は
3-1.判断する時期は前歯の永久歯が出てくる7歳前後
上唇小帯は年齢とともに顎が成長し、細く短くなってきます。また、自然に切れてしまうことも多いので、乳歯の時期に切除することはほとんどありません。前歯の永久歯が出始めても、上唇小帯が太いままだと、永久歯の萌出(ほうしゅつ)を邪魔したり、永久歯の前歯の歯と歯の間に隙間を作ったりするようであれば切除したほうがいいです。この時期に切除することによって自然に歯並びが改善することがあります。
3-2.切除しないという判断もある
歯並びを気にしないのであれば切除しないという判断もあります。上唇小帯が太くてもすべての人が歯並びが悪くなるわけではありませんし、子供を押さえつけてまで行う処置でもありません。ただし、いいタイミングで切除したほうが歯茎や歯並びにとってはいいし、治りも早いのです。
4.切除の時間と金額
処置時間は10分程度で終わります。表面麻酔と少量の部分麻酔をし、メスやレーザーで太い上唇小帯を切って取り除きます。痛みや腫れはほとんどありませんが、多少痛むようであれば痛みどめをのみます。金額は健康保険が適用されるため3割負担の方で3,000円前後の費用がかかります。
まとめ
上唇小帯が赤ちゃんの時は太いのが当たり前です、ブラシさえ気を付けていれば特に問題はありません。永久歯の前歯が生えてきたときに必要であれば切除すればいいのです。