「歯の詰め物が取れた!どうしよう!」
すぐには歯医者にいけないし、歯医者を予約しても1週間先になる。いろんなことが心配になりますよね。
そんなとき、歯医者に行くまでの間どのようなことに注意をすればいいのか、「歯の詰め物が取れた時の対処法」を全て解説します。
うっかり間違ったことをしてしまうと治療期間が伸びたり、治療費が高くなることもありますので、よく起こる事例から、間違って飲み込んでしまった時の対応まで詳しくお話しします。ぜひ、参考にしてみてください。
1.歯の詰め物が取れた時やってはいけない3つの事
1−1.取れた詰め物を無理に戻さない
取れた詰め物は無理に戻さないでください。取れた詰め物を戻してしっかり収まればいいのですが、もし浮いた状態で噛んでしまうと、詰め物が変形したり、残っている歯が割れたり、噛み合う歯が欠けたりすることがあります。
また、取れた詰め物を戻すと食事中に間違って飲み込んでしまうこともあります。特にお子さんや高齢者の方は気管に入りやすいので注意が必要です。
こうした理由から、取れた詰め物を無理に戻さない方がいいと覚えておいてください。
1−2.取れた詰め物を接着剤でつけない
取れた詰め物を自分で接着剤で付けないで下さい。当医院の患者さんでも年に数回いらっしゃるのですが、自分で詰め物を接着剤で付けてしまうと、歯と詰め物の間に隙間ができてしまうのです。そして、その隙間から虫歯が進行します。また、接着剤で付けてしまった詰め物を歯医者で取る時には、詰め物を削り取らなくてはなりません。もしも、接着剤の成分が歯に浸透すると歯自体も削り取る必要があります。
絶対に取れた詰め物を接着剤で付けないようにしてください。
1−3.取れた詰め物をティシュペーパーにくるんで置かず容器に保存する
取れた詰め物をティッシュペーパーにくるんで置かず、できれば容器に保存して下さい。
ティッシュペーパーなどでくるんで置くと取れた詰め物が細いものであれば、弱い力でも変形します。また、ティシュペーパーにくるんで置いて無くしてしまったという方が数多くいます。家族の方が間違えて捨てることもありますね。
取れた詰め物は容器に入れ、診療の時に持っていくのがベストなのです。
2.前歯の差し歯が取れてしまった時の対処法
前歯の差し歯が取れてしまうと、見た目に大きく問題が出てしまうためそのままというわけにはいきませんよね。歯医者の予約が取れるまでの間の対処法をお伝えします。
2−1.差し歯を取れた部分に戻してみる
残っている歯の汚れを歯ブラシで落としてから差し歯をゆっくり戻してみます。無理に力を加えると残っている歯が折れてしまうことがありますので注意をしてください。そのまま安定するようであれば、噛んでみます。高さが問題なければ、歯医者に行くまで注意しながらつけたままにします。
2−2.差し歯が取れやすい場合
差し歯が元の位置に戻るがすぐ取れてしまったり、安定感が悪い場合には「ポリグリップ」など入れ歯用の安定剤で固定します。残っている歯の汚れを取り、ティッシュなどで唾液を拭き取ってから、ほんの少し入れ歯安定剤をつけて歯に付けます。入れ歯安定剤を入れすぎると浮いてしまうので注意が必要です。
歯医者に行った時に「入れ歯安定剤で取れないようにした」と話してください。
3.詰め物が取れてから歯医者に行くまでに注意しておくこと
3−1.しっかり歯磨きをする
詰め物が取れた歯はしっかり歯磨きをしましょう。取れた部分の歯は柔らかい象牙質(硬いエナメル質の下にある部分)が露出し虫歯になりやすくなっています。
また、取れた部分の歯には隙間があり、繊維性の食べカスが詰まり易くなっています。詰まった食べカスが何層にも重なり(食片圧入)、歯茎を圧迫し歯茎が腫れます。だから、詰め物が取れた歯をしっかり歯磨きし、虫歯と歯周病を予防する必要があります。
3−2.取れた歯で噛まない
詰め物が取れた歯で極力噛まないようにして下さい。特に硬いものは絶対に噛まないで下さい。
詰め物が取れてしまうと歯は脆くなり、歯にヒビが入ったり、割れることがあります。成人男子の奥歯にかかる力(咬合力)は平均60kgです。この力が歯が残っている細い部分にかかると簡単に割れてしまいます。しかも、もし歯の真ん中まで割れれば神経の処置(抜髄)が必要なこともありますし、根まで割れれば歯を抜く(抜歯)まで必要なことがあります。
詰め物が取れた歯で強く噛まないようにしましょう。
3−3.熱い、冷たいなど温度変化があるものを飲んだり、食べたりしない
熱いコーヒーや冷たいビールなど温度差がある飲み物や食べ物は避けましょう。
詰め物が取れた部分は知覚過敏になっている可能性があり、痛みを感じやすくなっているのです。メカニズムを少し解説すると、取れた詰め物が神経のある歯の場合、詰め物が取れると象牙質が露出します。象牙質には神経につながる管(象牙細管)があり、この象牙細管が露出すると痛みを歯の神経(歯髄)に伝えやすくなります。例えば根元に詰めていたプラスチックが取れた時、根元の部分は歯髄までの象牙細管の距離が短く、温度差のある刺激が痛み(知覚過敏)として感じやすくなります。
詰め物が取れた歯の反対側で熱いもの、冷たいものを飲食するようにしましょう。
4.詰め物が取れて歯医者に行く時に知っておきたい2つのこと
4−1.歯医者に行くまで1,2週間程度なら虫歯は進行しない
詰め物が取れても歯医者に行くまで1、2週間程度なら虫歯は進行しません。
もちろん歯医者に行くのは早い方がいいのですが、虫歯は徐々に進む病気(慢性疾患)です。取れて1週間で穴が空くような虫歯にはなりません。平均的には1ヶ月くらいで初期虫歯が始まり、3ヶ月程度で穴が空き始めます。生えたての歯や神経が無い歯は、虫歯に対する抵抗力が低いためより早く虫歯が進みます。
いずれにせよ、1,2週間過ぎても虫歯は進行しませんが、歯医者には出来るだけ早く行きましょう。
4−2.取れた詰め物を容器に入れて治療の時に持っていく
取れた詰め物は容器に入れて治療の時に歯医者に持っていきます。
取れた詰め物が金属の物で虫歯や変形、劣化がなければ調整し消毒してそのまま付けることができます。
- 例1)1,2年前に付けた金属であれば劣化の程度も低くそのまま付けることができます
- 例2)4,5年前の金属の詰め物で、劣化により詰め物と歯の隙間から虫歯になって取れた詰め物は付けることができません
- 例3)前歯などの被せ物が取れた場合はそれが劣化して使えなくても仮歯として使うこともできます
取れた詰め物は捨てずに容器に入れて治療の時に持って行きましょう。
5.万が一、詰め物を間違って飲み込んでしまった時の対処法
5−1.取れた詰め物は飲み込んでも便と一緒に出てくる
取れた詰め物を間違って飲んでしまっても便と一緒に出てきます。取れた詰め物を食事中に取れて飲み込んでしまった場合、人間は体を守る為に反射的に胃の方(誤飲)に流します。消化はされませんが、繊維質が絡まり2,3日後には便と一緒に出てきます。詰め物の成分自体も体にすぐに悪い影響があるものではありません。
例えば「食事中に何か硬いものが当たった気がしたがそのまま食事をした。気づいたら右下の銀歯が無くなっていた。」この場合誤飲の可能性が大きいです。
もし心配であれば内科でレントゲンを撮影し確認し、数日間は便も確認するようにしましょう。
5−2.取れた詰め物を飲み込んだ時に咳き込んだらレントゲンで確認
取れた詰め物を飲み込んだ後、咳き込んだり、喉に異物感が出た場合、気管(誤嚥)に入っている可能性があります。
その場合は注意が必要です。内科でレントゲン検査が必要です。ほとんどの場合は咳の勢い(咳反射)で外に排出され食道に入りますが子どもや高齢者で咳反射が弱い方は気管に入りやすくなります。また、成人でも気管にスポッと落ちてしまう場合もあります。
内科ではレントゲン撮影を行い、どこに落ちたか確認の上、ファイバースコープを使って取り除きます。喉に異物感を感じたらレントゲンで確認しましょう。
6.詰め物が取れてから・・・期間が経ってしまったらどうなるか
6−1.1ヶ月経つと初期虫歯が始まります
歯の詰め物が取れて1ヶ月経つと、初期虫歯が始まります。
本来歯の表面はエナメル質(体で1番硬い部分)に守られています。詰め物が取れた歯の表面は一度治療で削られていて、エナメル質はありません。その代わりに詰め物で補っています。その詰め物が取れるとエナメル質の下にある象牙質が直接、お口の中に露出しています。露出した柔らかい象牙質は虫歯が進行しやすくなります。もともと虫歯がなければ大きく進行することはありませんが、初期虫歯が始まっていますので、早期の治療をお勧めします。
6−2.3ヶ月経つと歯に穴が空く
詰め物が取れて3ヶ月経つと虫歯が大きく進行して、歯に穴が空いてきます。
詰め物が取れた歯は柔らかい象牙質が露出しています。お口の中は酸性、アルカリ性など歯を溶かす条件が多く、象牙細管(象牙質から神経まで繋がっている細い管)から虫歯が進行して行きます。細菌が神経まで入り痛みが出ると神経の処置が必要です。神経が無くなると再生する力を失い寿命は半減します。詰め物が取れて3ヶ月も経つと虫歯が進行するので、痛みなどの症状が出る前に治療をしましょう。
6−3.半年経つと歯が欠ける
詰め物が取れてから半年経つと歯が欠けます。
虫歯は硬いエナメル質を溶かすには時間がかかります。詰め物が取れた歯は柔らかい象牙質が多く露出しているため、歯の内側から虫歯が進行して行きます。残った外側のエナメル質が象牙質の裏打ちをなくし、歯が欠けることになります。神経が無い歯の詰め物が取れると痛みは感じません。再生力も無い為に虫歯の進行を食い止めることも出来ず、内側の象牙質を溶かし続けます。裏打ちをなくしたエナメル質が薄くなり最後に欠けます。ここまで虫歯が進行すると抜歯をしなくてはならないこともあります。
詰め物が取れて長い間放置すると歯が欠けて、抜歯が必要になります。その前に必ず治療しましょう。
7.おすすめクリニック
7−1.横浜のおかざき歯科クリニックの基本情報
ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
土 9:00~13:00 14:00~18:00
木・日・祝日:休診日
院長経歴
岡崎 弘典
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/shougai/
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医 https://www.dent-kng.or.jp/iryou/sessyoku/
がん歯科医療連携登録医 https://ganjoho.jp/data/professional/med_info/dental/files/14_kanagawa.pdf
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任
7−2.新百合ヶ丘のアコルデ歯科医院
【ホームページ】 https://www.acorde-dental.com
電話番号 044-952-1555
住所 神奈川県麻生区上麻生1-20-1小田急新百合ヶ丘駅ビル5F 新百合ヶ丘駅から徒歩1分
【医療理念】 正確な判断と確実な治療を患者様に提供すること
【治療で心がけていること】とにかく患者様のお話を聞くこと、患者様とのコミュニケーションを大切にすること
【院長】永瀬 哲弥(ながせ てつや)
【略歴】1988年3月 城西歯科大学 卒業(現 明海大学歯学部)
4月 医療法人社団 共友会
1990年7月 アコルデ歯科医院開院
【資格】 日本歯科大学臨床研修指導医
まとめ
いかがでしたでしょうか。詰め物が取れたばかりの時は痛みも無く経過することが多いですが、徐々に虫歯は進行してきます。詰め物が取れてから期間が経つと治療期間が長くなり、費用も高くなります。詰め物が取れても痛みがないからとそのままにせず、出来る限り早めに歯医者を受診しましょう。
注意
このページに記載されていることは一般的に起こることです。個体差が有りますので全ての人に起こることではありません。詳しくは歯科医院にてご相談下さい
。