出っ歯や受け口で歯列矯正をしたいけれど自費診療のため、費用的に治療に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。一般的な歯列矯正は保険外診療で80万円程度かかることが多いです。しかし、実は歯列矯正をある条件を満たせば保険診療で行える場合があるのです。保険内なら状態によって半額程度で治療を行えるのです。助かりますよね。今回は保険診療で歯列矯正ができる5つの条件をお伝えします。ぜひ参考にしてください。
1.保険診療で歯列矯正ができる4つの条件
1−1.永久歯が6本以上先天的にない方
永久歯がもともとないことを歯の先天性欠如(せんてんせいけつじょ)と言います。近年増えていますが、この先天性欠如の歯が6本以上の方は保険診療で歯列矯正が行うことができます。ただし、親知らずは含めませんし、虫歯や歯周病で抜いてしまった場合も認められません。歯がなかなか生え変わらなかったり、いつまでも多くの乳歯が残っている方は歯医者のレントゲンで永久歯があるか確認してみて下さい。詳しくは「あなたの歯の本数は足りている?/近年増えている歯の先天性欠如」を参考にしてください。
1−2.外科処置を伴う歯列矯正が必要な方
極端な受け口や出っ歯、開口(かいこう)、顎のズレがある場合、歯列矯正だけでは治療をすることができない場合があります。この方を顎変形症(がくへんけいしょう)といい、歯列矯正と顎の手術を両方行い、噛み合わせを治します。歯列矯正だけでは治すことのできない顎のズレがある方には保険診療で矯正治療ができます。詳しくは「反対咬合の治療をするタイミングと年齢別の治療方法/注意点」を参考にしてください。
1−3.国が定めた先天疾患である方
歯並びに影響があり、国が定めた疾患の場合は保険診療で歯列矯正を行うことができます。唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ) やダウン症などです。その他の詳しい疾患については日本矯正歯科学会HPを確認してください。
1−4.矯正治療する歯医者が国の指定機関であること
保険診療で歯列矯正を行うには国が指定した特別な機関である必要があります。顎変形症の治療を行うには顎口腔機能(がくこうくうきのう)の施設、先天疾患の治療の場合は障害者自立支援の指定医療機関で歯列矯正を行う必要があります。歯列矯正専門医でも保険で歯列矯正が行えない場合がありますので事前に確認が必要です。
1−5.健康保険に加入していること
当たり前のことですが、健康保険に加入していなければ保険診療自体が使うことができません。多くの場合は3割負担の治療ですが、条件によって負担金が変わります。それにより費用も変わってきます。
2.保険で歯列矯正が行える治療例
2−1.永久歯が6本以上ない方の治療例
受け口の方ですが上の歯の永久歯が6本ない先天性欠損です。小臼歯が4本、大臼歯が2本ありません。小臼歯部分には乳歯を残して噛み合わせを改善しています。外科的な手術はせず、矯正のみで治療を行っています。永久歯の欠損が多いため保険診療で歯列矯正を行うことができます。
治療前の噛み合わせ
治療後の上顎
治療後の噛み合わせ
2−2.外科処置と歯列矯正を行った治療例
受け口が強く、噛み合わせが反対咬合と言われる状態です。はじめに歯列矯正を行い、次に下の顎を手術で後ろに下げる処置をし、その後歯列矯正で噛み合わせを整えます。矯正治療及び顎を下げる手術の費用は保険診療にて行うことができます。詳しくは「顎のずれ!顎変形症で知っておきたい10の知識と治療の流れ」を参考にしてください。
治療前の噛み合わせ
治療後の噛み合わせ
3. 歯列矯正の保険診療の費用について
歯列矯正を自費診療で行う場合80万円〜100万円程度の費用がかかります。基本料金80万円と毎回の処置の費用が5千円〜1万円で合計100万円程度になることがあります。保険診療で3割負担の場合矯正の料金が20〜30万円程度、手術費用が10万円程度で合計すると40万円程度です。自費診療でも保険診療でも医療費控除の対象になります。
4.舌側矯正やマウスピース矯正は対象外
保険診療で歯列矯正を行う場合は、歯の内側に装置を付ける舌側矯正やマウスピース矯正では行うことができません。保険診療で認められている歯列矯正は難易度が高い治療が多く、また、保険では機能を優先するため審美的な治療を行うことができなくなっています。
まとめ
通常の歯医者では6本以上歯がなかったり、外科的な治療と矯正を組み合わせると保険診療で歯列矯正ができることを知らない場合があります。また、矯正専門医でも保険診療で歯列矯正を行っていないところもあります。歯列矯正を行うには矯正歯科で確認した上で行うようにしてください。
おかざき歯科クリニックでは保険診療で歯列矯正を行うことはできません。