3ヶ月に一度!歯医者でPMTCを行った方がいい6つの理由と費用や手順

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

定期的に歯医者に行っているがいつも虫歯が見つかりその度に削られる、歯石を取ってもらうが歯石が残っているか心配な方も多いのではないでしょうか。PMTCは専門的なスタッフが虫歯や歯周病のリスクが高いところを清掃することです。定期的にPMTCをすることによって虫歯や歯周病を防ぎ、口の環境を整えているのです。今回は3ヶ月に一度、定期的に歯医者でPMTCを行った方がいい6つの理由と費用や手順などについてもをお伝えします。ぜひ参考にしてください。

1.PMTCとは

専門家による歯の清掃のことです。例えばお掃除のプロがレンジフードやお風呂場などの掃除をしてもらうと、自分で行うよりも汚れが取れ、自分では取れない器械の中まで綺麗にしてくれます。PMTCも通常の歯磨きでは取れない部分の歯垢を専門家である歯科衛生士が綺麗にし、虫歯や歯周病を予防する方法です。 PMTC( Professional Mechanical Tooth Cleaning)専門家による機械的な歯面清掃のことです。

2.3ヶ月に一度、歯医者でPMTCを行った方がいい6つの理由

2−1.歯磨きやデンタルフロスで磨いても20%程度は歯垢が残る

自分で歯垢を毎日100%落とすのは歯医者でも難しいことです。とても綺麗に磨ける人でも歯ブラシで60%、デンタルフロスの使用で80%〜85%程度までしか歯垢を落とすことができません。磨き残しは同じような場所に起こるので虫歯や歯周病が起こります。自分では落としきれていない歯垢をPMTCによって定期的に落とすことでご自身の歯を守ります。

DSC_0449

2−2.歯周ポケットが4mm以上の部分は歯垢が取れない

歯周病は歯周ポケットの中に細菌が感染して起こる病気です。歯周病が進行し、歯周ポケットが4mm以上になると歯ブラシや歯間ブラシでは歯周ポケット内の細菌を取り除くことができません。そのままにすれば歯周ポケットがより深くなり最終的には歯が揺れたり、抜けたりしてしまいます。歯周ポケット内の細菌をPMTCで定期的に清掃することによって歯周病の進行を防ぎます。

2−3.感染したバイオフィルムは機械的な清掃器具でないと取れない

歯の表面には歯を守るためにバイオフィルムという薄い膜があります。バイオフィルムに細菌が長期間あると細菌が感染し、虫歯や歯周病が起こります。感染したバイオフィルムは洗口剤などでは取れず、機械的にこすったり、振動を与えて剥がす必要があります。そのためPMTCで機械的な振動を与え、定期的にバイオフィルムを新しいものに変えていく必要があります。

2−4.歯石になると歯ブラシでは取れない

自分で取りきれなかった汚れは24時間で歯垢となり、48時間で歯石となります。PMTCで取り残した歯垢や、歯石を定期的に取らなければ、多くの歯石が溜まり、歯周病が進行してしまいます。

shutterstock_125264981

2−5.初期虫歯の進行を確認できる

近年初期虫歯は削らず、できるだけ経過観察をする方向にあります。経過観察をするには定期的に確認する必要があります。定期的にPMTCを行い、虫歯のリスクの高いところを清掃し、初期虫歯の進行を確認することで、自分の歯をできるだけ削らずに済みます。

2−6.インプラント治療を長持ちさせる

インプラントとは歯を失った顎にインプラント(人工歯根)を入れて、歯と同じように噛めるようにすることです。インプラントは人工物のために歯より抵抗力が低く、細菌が感染するとインプラント自体が歯周病になってしまうことがあります。そのためインプラントを長く使用したい方は定期的にPMTCを行い、インプラント周囲をきれいにしておく必要があります。

shutterstock_188769101

3.毎月PMTCを行った方がいい方

3−1.歯周病が進行している方

歯周病が進行している方は歯周ポケットが深く、自分では歯周ポケット内の歯垢を磨けないために毎月PMTCを行った方がいいです。

3−2.糖尿病や骨粗鬆症など体の病気が歯周病に影響のある方

糖尿病や骨粗鬆症になると免疫力が低下し、少しの細菌で歯周病が悪化しやすくなります。そのためPMTCの期間を短くして、できるだけ細菌が歯周ポケット内で悪影響を及ぼさないようにします。

3−3.歯茎の再生療法を行っている方

歯周病が進行して、歯の周りの骨が溶けてしまった場合、骨を再生させる手術を行うことがあります。再生させた骨は細菌に弱く短い期間でPMTCを行い、できるだけ細菌が周りに残らないようにします。

3−4.手が不自由でうまく歯磨きができない方

手が不自由でうまく歯磨きができない方は毎月PMTCを行った方がいいです。うまく磨けない方は電動歯ブラシをお勧めしますが、電動歯ブラシだけでは歯垢の多くが残ってしまいます。口の中の細菌は多くなれば、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という肺炎になりかねません。そのため毎月PMTCを行い、口の中の環境を整える必要があります。

3−5.虫歯のリスクが高い方

虫歯は人によってなりやすい方もいれば、なりにくい方もいます。毎日、しっかり磨いていても虫歯になってしまう方は毎月PMTCを行い、その後にフッ素塗布をお勧めします。歯の汚れをきれいに取った後はフッ素の取り込み効果が高く、歯の表面のエナメル質を硬くしてくれます。

4.半年に一度程度PMTCを行った方がいい方

4−1.歯周ポケットが正常な方

歯周ポケットが浅く、自分でほとんどの歯垢を取り除ける方は半年に一度のPMTCをお勧めします。歯周病は痛みなどの症状がほとんどなく進行します。半年に一度のPMTCで、歯茎の健康を維持し、生涯自分の歯で過ごせることを目指します。

4−2.虫歯治療の経験がほとんどない方

虫歯は進行すると歯を削り、人工物に置き換えます。その人工物は劣化し、また新たな虫歯を引き起こします。一度削ってしまった歯は虫歯を繰り返してしまいます。そのため半年に一度PMTCを行い、虫歯ができやすい部分の汚れを落とし、虫歯をつくらないようにしていきます。

5.PMCTができるのは訓練された歯科衛生士

定期的に歯医者に行っていてもただ歯石を取っているだけではPMTCではありません。もちろんすべての歯をPMTCで改善できるわけでもありませんし、本来抜歯しなければいけない歯を温存している場合もあります。しかし、訓練されている歯科衛生士は高度なPMTCのテクニックで歯や歯茎を守ることができます。

5−1.予防先進国スウェーデンのイエテボリ大学で研修した歯科衛生士

PMTCは主に歯科衛生士が行う仕事です。それも訓練された歯科衛生士が行わなければ適切なPMTCを行うことができません。おかざき歯科クリニックでは予防先進国スウェーデンのイエテボリ大学で研修した歯科衛生士が在籍し、担当衛生士制でPMTCを行っています。

5−2.予防歯科で有名な山形県酒田市の熊谷歯科医院で研修した歯科衛生士

山形県の熊谷歯科医院は日本でも有数の予防歯科クリニックです。おかざき歯科クリニックでは熊谷歯科医院で研修を積んだ歯科衛生士が在籍し、定期的なPMTCを行っています。

5B6A1334

6.PMTCの手順

6−1.磨き残しの確認する

PMTCをいくら行っても毎日の磨き残しが多ければ虫歯や歯周病は進行してしまいます。PMTC前にはしっかりと歯磨きをしてきていただき、自分の歯磨きが苦手なところを担当の歯科衛生士にアドバイスをもらいます。

6−2.虫歯や歯周病の状態を確認する

初期の経過観察をしている虫歯の状態や、歯周ポケットなどが進行していないか確認します。

6−3.歯石や感染したバイオフィルムを取り除く

歯ブラシでは取ることのできない歯石や、歯ブラシが届かない歯周ポケット内のバイオフィルムを超音波の器具を使ってはがし取ります。超音波の器具によって細菌の活動を弱め、減らすこともできます。

6−4.歯の表面を綺麗にする

超音波器具で落とした歯の表面はざらざらとしています。細菌や歯石が付きにくいように歯の表面を磨いたり、ジェッットパウダーで綺麗に仕上げます。

6−5.必要であればフッ素を塗る

PMTCを行った後は歯の表面が綺麗な状態です。このタイミングでフッ素を塗ると効果的に歯の表面を強くできます。

7.PMTCの費用

費用については歯医者の考え方によって異なります。特に自費診療についてはPMTCのやり方や時間によって保険診療内で行うか自費診療で行うか違う場合が多いようです。かかりつけの歯医者でご確認ください。

7−1.保険診療のPMTCの費用

保険診療では糖尿病や骨粗鬆症など病気によって歯周病に悪影響を及ぼす方や、歯茎の再生など外科的な処置を行った方に1ヶ月に一度認められています。それ以外の方が3ヶ月程度期間を開ければPMTCが可能です。費用は2,500円から3,000円程度です。

7−2.自費診療のPMTCの費用

自費診療の場合は保険診療に縛られないためいつでも何度でもPMTCを行うことが可能です。費用は5,000円から20,000円程度です。

おすすめクリニック

おかざき歯科クリニックの基本情報

ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
                     土          9:00~13:00 14:00~18:00 
     木・日・祝日:休診日

院長経歴

岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任

 まとめ

汚れは毎日自分で取るものです。その上で虫歯や歯周病のリスクの高い部分を専門家が綺麗にすることをPMTCといいます。PMTCを効果的に行ってもらうには自分の歯磨きのテクニックを向上させることと、定期的にPMTCを行うことです。

歯茎下がりは歯周病の始まり

歯周病治療

歯茎が下がると歯がしみやすくなります。あなたは大丈夫でしょうか?


これが歯周病の始まりなのです。


歯周病は虫歯と違って、重度になるまで痛みなどの自覚症状がないため、気付いたら歯が抜ける寸前だったということも少なくありません。歯を支える骨が溶けて、最悪歯を残すことが難しくなるケースもあります。


これから20年、30年、生涯にわたって自分の歯で過ごすためには、今が大切です。 ひどくなってしまう前に、いちど検診を受けることをおすすめします。



歯周病治療の流れを見る

歯のブログを書く私が、本当に信頼している歯医者はこちら

歯のブログの購読はFacebookが便利です

Twitter・RSSでも購読できます

【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

コメント

  1. 拓実 より:

    お世話になります。

    次の件にて教えてください。

    ■保険診療では糖尿病や骨粗鬆症など病気によって歯周病に悪影響を及ぼす方や、歯茎の再生など外科的な処置を行った方に1ヶ月に一度認められています。それ以外の方が3ヶ月程度期間を開ければPMTCが可能です。費用は2,500円から3,000円程度です。

    私は糖尿病や骨粗鬆症ではなく、歯茎の再生など外科的な処置もしていません。

    保険診療を希望します。

    費用はいくらくらいでしょうか?

    アドバイスいただけると幸いです。

    よろしくお願いします。

    1. 岡崎弘典 より:

      平成28年4月より保険の改正があり歯周病が中等度以上進行している場合は月に1回でもメンテナンスが保険で受けられます。
      しかし、これには条件があり歯医者自体が毎月のメンテナンスをしていいという厚生労働省の施設基準に合格していなければいけません。
      申請をし、合格していれば月一回でも3ヶ月に一回でもメンテナンスは保険で可能です。3割負担の方で3,000円程度です。
      そうでない場合は記載した通りの基準か、保険外診療となります。
      かかりつけの歯医者で確認をしてみてください。

岡崎弘典 へ返信する コメントをキャンセル

*