どこが痛いかわからない奥歯の痛み/9つの原因と治療法

【執筆・監修】岡崎 弘典

おかざき歯科クリニック 院長

奥歯が急に痛み出すことってありますよね。自分でもどの歯が痛いのかわからなくなることもあります。実は奥歯は痛みの原因がどこだかはっきりしないことが多いのです。歯科医でも原因を見つけることが難しいこともあります。歯医者で「様子をみましょう」、「噛み合わせを調整しておきました」などで終わってしまうことも多いのです。もちろんそれが正しい場合もあるのです。今回は奥歯の痛みの原因と治療法をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。

1.奥歯の痛みの特徴

奥歯に痛みが出ると顎全体に広がる痛みとして出ることがあります。放散痛(ほうさんつう)といって痛みが広い範囲に広がってしまうのです。例えば上の奥歯に大きな虫歯があって痛みの原因にもかかわらず、下の奥歯が痛いと感じることもあるのです。そのため歯医者でレントゲンを撮るときに全体のレントゲンを撮ることが多いのです。

2.どこが痛いかわからない奥歯の痛み/9つの原因と治療法

2-1.奥歯が激痛で痛い

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銀歯の下で虫歯が進行している可能性があります。奥歯には銀歯を入れていることが多く、銀歯の下に広がっている虫歯は見た目では分からないままに虫歯が進行します。銀歯は劣化しやすい為、歯と銀歯の隙間から虫歯になりやすく、神経まで達してしまい強い痛みが出ます。痛みは全体に広がり、どの歯が痛いか分からなくなることもあります。また、上下どちらが痛いか判らなくなることさえあります。詳しくは「セラミックの歯/彼らが銀歯にしない6つの理由」を参考にしてください。

治療法

レントゲン等検査をしてどの歯が痛いのか調べます。痛みが広がると、歯科医でも金属が多く入っていたり、虫歯がたくさんあったりしてどの歯が痛いのか判らないこともあります。診断ができたら、神経を抜く処置をします。

2-2.奥歯で噛むとすごく痛い

神経が半分死んでしまい根の先から細菌が出ている可能性があります。細菌によって歯根膜(しこんまく)という噛んだ時に硬い、軟らかいを判断する膜に炎症が起きて、奥歯で噛むと強い痛みが出ます。歯と歯が触れるだけで強い痛みが出てしまう方もいます。詳しくは「歯の神経を抜く前に知っておきたかった7つのことと最新治療法」を参考にしてください。

治療法

歯の根の治療をする必要があります。根の中で腐ってしまった神経を取り除き、細菌に侵された歯を消毒します。治療中も痛みが出やすいため噛み合わせを調整して、普通に噛んだ時も歯と歯がぶつからないようにします。

歯の神経を抜く抜髄治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。

2-3.奥歯の腫れ、痛み、噛むと痛い

根の先に膿が溜まっている可能性があります。奥歯は根の治療が難しく、治療中に唾液などが根の中に入ってしまうと、何年かたって膿が溜まり痛みが出ます。根の先に膿が溜まる病気の歯根嚢胞(しこんのうほう)は症状が無く進行することもあり、痛みが出るころには膿の袋が大きくなっています。痛みは顎全体に広がりどの歯が痛いのかわからなくなることがあります。詳しくは「歯の根の先に膿が溜まる歯根嚢胞/8つの症状と治療法」を参考にしてください。

治療法

膿の袋が大きくなると隣の歯まで膿が感染してしまうことがあります。痛みの原因である膿を出した後、感染してしまった根の中すべてをキレイに消毒する必要があります。根の消毒だけで改善が見られない場合は歯茎の方から膿の袋を取り除く処置をする場合もあります。

根管治療の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。

2-4.奥歯の歯茎が腫れる、痛い、歯が揺れる

歯周病の可能性があります。歯周病は症状が無いまま進行してしまう病気です。特に奥歯は噛む力が大きくかかる場所なので歯周病の進行も早くなり、歯茎が腫れて痛みが出ることがあります。腫れは疲れているときなど、体の抵抗力が弱っているときに出やすくなります。詳しくは「絶対歯周病にならない13の法則/原因と対処法」を参考にしてください。

治療法

歯周病の治療が必要になります。歯周病は重症になってしまうと外科的な処置をしたり、歯を抜かなくてはいけないこともあります。早期に治療し、その後のメンテナンスが重要になります。

歯周病で溶けた骨を再生させるエムドゲイン再生療法の流れと実際の治療の様子をわかりやすく動画にまとめましたので、こちらでご覧ください。

2-5.奥歯の歯茎が腫れる、痛い、口臭

親知らずの周りの歯茎が腫れている可能性があります。親知らずは横や斜めに生えていることが多く、周りに細菌が溜まり腫れや痛み、口臭を伴うことが多いのです。詳しくは「親知らず抜歯のすべて/抜歯の決断から治療終了までのステップを全て公開」を参考にしてください。

治療法

親知らずの手前の歯の状態が悪くなければ早期に抜歯したほうがいいです。手前の歯の神経が無い場合などは移植歯として使える場合があります。

2-6.奥歯が噛むと痛い、腫れている、場合によっては激痛

奥歯が割れている可能性があります。神経が残っていない場合は強い痛みはなく噛むと痛い、歯ぐきが腫れるなどの症状が出ます。神経がある場合は割れた隙間から細菌が侵入し、強い痛みが出ることがあります。詳しくは「歯が痛い時にすぐに歯の痛みを減らす秘訣と絶対してはいけない3の事」を参考にしてください。

治療法

割れている部分が歯の上の方であったり、割れてからすぐの場合は歯を接着させて残せる可能性があります。しかし、割れてから時間が経って何度も腫れを繰り返している場合は抜歯しなくてはいけないことが多いです。

2-7.上下の奥歯が痛い、歯もしみる

歯ぎしりや食いしばりの可能性があります。歯ぎしりや食いしばりは歯に持続的に強い力がかかり続け、上下左右の奥歯に痛みが出ます。また、歯ぎしりをされる方は歯の根元の部分が砕け知覚過敏が出ることも多いです。詳しくは「気づかない歯ぎしりで日本人の70%は歯を悪くしている」を参考にしてください。

治療法

日中起きているときは食事以外、歯と歯を合わせないように意識します。硬いものを噛んだりして、歯に負担がかかることも避けます。寝ているときの歯ぎしりはマウスピースで保護するようにすれば徐々に落ち着いてきます。

2-8.上の奥歯が痛い、頭痛、鼻づまり

上顎洞炎(じょうがくどうえん)の可能性があります。上顎洞炎とは上顎の根の近くにある副鼻腔(ふくびくう)のことです。歯の根の先から細菌が副鼻腔に入って感染する場合や、風邪や蓄膿症によって副鼻腔に膿が溜まって奥歯が痛くなる場合があります。詳しくは「虫歯じゃないのに歯が痛い上顎洞炎で起こる8つの症状と最適な治療法」を参考にしてください。

治療法

抗生物質をのんで副鼻腔に溜まっている細菌を減らしていきます。鼻からくる上顎洞炎の場合は薬だけで改善します。歯からくる場合は感染源の根の治療をする必要があります。

2-9.奥歯から顎の骨が痛い

嚢胞(のうほう)や腫瘍(しゅよう)の可能性があります。レントゲン等で確認の上、病院で精密検査を受ける必要があります。その病気が進行性なものなのか、それともそのまま経過をみていいものなのか診断をします。自己判断は最も危険な行為です。

3.原因が判らなければCT撮影

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奥歯の痛みは歯が痛い場合もあれば顎や鼻の空洞が痛い場合もあります。原因を確実にする為には3次元的に確認できるCT撮影をする必要があります。原因が判らずいつまでも痛い思いをし続けたり、間違った治療をされることが防げます。

おすすめクリニック

おかざき歯科クリニックの基本情報

ホームページ http://www.okazaki-dental.com
電話番号 045-828-6480
住所 神奈川県横浜市戸塚区品濃町1835ー29コーポレート東戸塚
診療時間 月・火・水・金 9:30~13:00 14:30~19:00
                     土          9:00~13:00 14:00~18:00 
     木・日・祝日:休診日

院長経歴

岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
ヨーロッパ・オッセオインテグレーション協会 イタリア・ローマ 2014年
ITIワールドシンポジウム スイス・バーゼル2017年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医
伊豆稲取 村松歯科医院矯正科 主任

まとめ

前歯とは違い奥歯は原因を見つけることが難しい場所です。長い間痛みを抱え悩んでいる方もいます。痛みが続き、原因が判らない場合は一度セカンドオピニオンを検討するのも一つの手段です。

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ひとりで悩んでいませんか?


・歯医者で抜歯と言われたが、本当に歯を抜かなければならないのか

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おかざき歯科クリニックでは、まず自分の歯の状態を知っていただいた上で、最新の治療法や保険の適用まで詳しく説明します。一人一人に合った専門性の高い治療を提供しています。
20年後、30年後も自分の歯で美味しく食事をしていただくための治療法や予防法をあなたと一緒に考えていくクリニックです。


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歯茎下がりは歯周病の始まり

歯周病治療

歯茎が下がると歯がしみやすくなります。あなたは大丈夫でしょうか?


これが歯周病の始まりなのです。


歯周病は虫歯と違って、重度になるまで痛みなどの自覚症状がないため、気付いたら歯が抜ける寸前だったということも少なくありません。歯を支える骨が溶けて、最悪歯を残すことが難しくなるケースもあります。


これから20年、30年、生涯にわたって自分の歯で過ごすためには、今が大切です。 ひどくなってしまう前に、いちど検診を受けることをおすすめします。



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おかざき歯科クリニックの親知らずの抜歯治療の特徴

親知らずの抜歯治療

親知らずの抜歯は腫れや痛みを伴うことが多いです。


おかざき歯科クリニックではできるだけ痛みが軽減するような抜歯法を行っております。


親知らず抜歯前には口の中をきれいにし、抜歯後細菌が感染しないようにします。


また、CTレントゲンで事前に親知らずの方向を確認したり、骨を削る際にはピエゾサージェリーという機械で極力腫れないようにすることなどを行っています。


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【執筆・監修】岡崎 弘典

日本口腔インプラント学会
日本矯正歯科学会
マロ・クリニック研修オールオンフォーインプラント、ポルトガル・リスボン2010年
イナーキ・ガンボレラ研修審美インプラント、スペイン・サンセバスチャン2012年
障がい者歯科一次医療機関
神奈川県摂食・嚥下障害歯科医療相談医
がん歯科医療連携登録医

コメント

  1. 山口 より:

    コメント失礼します。
    すみません、奥歯から顎の辺りの痛みに悩み記事を見つけて書き込ませて頂きました。
    数日まえから痛みがひどく、歯医者に行きましたが見てもらっても特に傷んだ歯はないので様子見と言われました。
    レントゲンは妊娠中のため、撮っていません。妊娠中でもレントゲンは可能性なのでしょうか?
    こめかみの辺りの頭痛までしてきてすごく辛いのですが…
    よろしければ、おしえてください。

    1. 岡崎弘典 より:

      原因不明の痛みは困りますよね。
      妊娠中にもレントゲンは可能です。歯科のレントゲンの被曝量はほぼゼロに等しいので胎児に影響はありません。
      「放射線被曝 早見図」などで検索すると正確な情報が得られます。だからと言って無意味にレントゲンを撮る必要ありませんが、
      診断に必要であれば撮影してもらってください。
      また、痛みに対して薬が必要な場合はあります。心配であれば婦人科で歯科で出される抗生物質や痛み止めが問題がないか確認しておくと安心です。
      痛み止めは婦人科で先にもらっておくともっと安心です。
      早く痛みの原因がわかるといいですね。

  2. サカイ より:

    突然すいません。
    一ヶ月前に右下の奥歯に虫歯があり
    神経にちょっとかかってるだけだから
    神経を抜かず治療して頂きました。

    金属をかぶせてもらったんですが
    その歯が痛くなり歯茎も腫れてきました
    痛みがすごく夜も寝れない状態です

    神経抜く事ななりますよね!?

    1. 岡崎弘典 より:

      そうですね。歯の神経は部分的に死んでしまってる状態だと思います。
      このまま1週間もすれば痛みは引きますが、その後噛んだ時の痛みに変わり、完全に神経が死んでしまいます。
      すぐに痛みを取りたければ歯医者で神経を抜いてもらったほうがいいでしょう。
      ただ、痛みが強い時は治療の時、麻酔も効きにくく、治療時の痛みも強いため少し痛みが軽減したからの治療のほうが
      いいのではないでしょうか。

  3. まい より:

    突然失礼します。
    現在、右上7番の根管治療中です。
    土台を作り、金属を被せる(仮止め)ところまできましたが、土台を作った後から歯茎の上の方(歯茎と頰の間?)が痛み、しばらくすると治療中の歯の真横の歯茎が膨らみました。
    担当医に確認すると、こういう形の歯茎はあるから、膿んでいるわけではないし、異常ないと言われました。CTで確認してもらったので間違いはないかもしれませんが、歯茎の膨らみは今までなかったものなので不安です。
    土台を作ったとき、土台が深かったとのことで歯茎が痛んだので、金属を仮で被せる前に少し土台を修正してもらいましたが、膨らみがあることが不安です。
    土台や被せ物があっていないのか、歯の状態が悪くなっているのか、他に原因があるのかとても不安なので質問させていただきました。
    よろしければ教えていただけますでしょうか。

    1. 岡崎弘典 より:

      そうですね。始めの状態と現在の状態を写真で比較し、CTを確認しなければはっきりとしたことはわかりません。
      治療中の歯は神経がないということなので、歯に亀裂が入っているのか、根の先が原因なのか、歯周病か、治っている最中なのか、判断はできません。
      気になるようであればセカンドオピニオンで確認していただいた方がいいのではないでしょうか。

  4. ライ より:

    コメント失礼します。
    痛みがあり困っています。アドバイスをもらえると幸いです。
    症状としては、奥歯から3つ手前の歯付近が痛いです。該当する歯は銀歯をつめています。
    歯医者に行きレントゲンを撮ったのですが、特段、以前と変わりがないので、歯の痛みではないといわれました。
    経過観察中ですが、ジンジン歯茎というか、歯の下というか、歯ではなく、歯茎の方がジンジン痛いです。
    夜は心臓の鼓動のような感じでジンジン痛いです。
    これは歯茎がなにか炎症しているのでしょうか? 歯並びが悪いので、何かが間に挟まったのかもと思いましたが、
    特に挟まってないみたいです。

    どのような病院にいけばよいのでしょうか?
    また、
    自分で出来る痛み対策などはないでしょうか?

    アドバイスをいただけると幸いです。

    1. 岡崎弘典 より:

      奥歯から3つ手前の歯が痛いということですね。
      まず、歯の神経の状態を確認する必要があります。電気を流して歯の神経が生きているのかどうかを確認します。
      歯の神経の反応が過敏であったり、無いようでしたら麻酔をせずに銀歯を外して確認します。
      まずは、歯の神経に問題が無いかを確認し、問題が無いようでしたら、他に原因があるかもしれませんので、
      CTレントゲンの撮影や口腔外科に紹介してもらった方がいいのではないでしょうか。

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